2011.09.30(Fri) フライデー

福島の農業セシウム汚染「放射能と共存するしかない」

筆者プロフィール&コラム概要
(左上)9月中旬の刈り取りを控える郡山市の田んぼ。県の予備検査でセシウムは不検出だったが、不安は拭えない
(左下)郡山市の販売店。値札のそばに放射線モニタリングの結果が貼り出されている。客が注意深く覗いていた
(右上)7月の出荷制限の影響で出荷の適期を逃した肉牛。8日に行った検査に合格すれば出荷される(鏡石町)
(右下)「ゼオライト」と呼ばれる鉱物を餌に混ぜている。セシウムを吸着し、体外へ排出する作用があるという

 これらが事故2~3ヵ月後から実施された対策で、'90年代になると、「プルシアンブルー(ヘキサシアノ鉄酸塩)」という薬品が使われるようになった。これはドイツの研究機関が開発したもので、牛に飲ませるとセシウム結合体を体外に放出する効果があるとされる。ただ、高価なので、ウクライナの貧しい村では「粘土質のミネラル結合体」を牛に舐めさせた。プルシアンブルーに比べると効果は低いが、セシウムを吸着して外に放出する一定の効果があるという。

 セシウムなどの放射能汚染から農産物を守るために、土地の改良も行われた。ウクライナ人の農家がこう説明する。

「表土を除くという除染方法は、農地には不適切でした。費用が嵩む上、土壌の肥沃さを失ってしまう。しかも、汚染土をどこかに埋めなければならず環境問題を引き起こす。そこで、汚染された土地では、セシウムを吸収しにくい作物を育て、やせた土地にならないように耕しながら、ゆっくりとセシウムの数値が低下していくのを待つのです。こうした土壌処理を〝徹底改良〟と呼んでいます」

 例えば、石灰を主成分とした肥料を追加することで、セシウム137、ストロンチウム90の植物移行を半減できる。要は、放射線量を何とか基準値以内に抑えこんで、農作物を作り続けようという発想なのだ。ベラルーシの農家に聞くと、放射能対策を隠す様子はなかった。

「検査を通過しないと出荷できないのだから、言われた通りにやってきた。いろいろ工夫してちゃんとクリアしている」

 むしろ、セシウムを減らすテクニックに胸を張る。ある畜産農家もこう笑った。

「あるもの(放射能)はしかたがない。付き合っていくしかない。25年間やってきて大丈夫なんだから、問題ないさ」

 流通・販売も「放射能汚染ありき」の態勢をとっている。ウクライナでもベラルーシでも、市場やマーケットごとに「ラボ」と呼ばれる検査室が設けられているのだ。ここには専門のスタッフが常駐し、すべての食品の汚染を検査してから販売している。買い物中の主婦に、不安はないかと尋ねると、
「毎日検査しているんだから、心配なんかないわ。あたりまえでしょう」
と、陽気に答えた。

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