2011.09.30(Fri) フライデー

福島の農業セシウム汚染「放射能と共存するしかない」

筆者プロフィール&コラム概要
福島・ウクライナ・ベラルーシ現地ルポ鏡石町で乳牛を飼う菅家さん。3月の牛乳の出荷停止が家計を直撃。十分な餌を与えられなくり、3頭の乳牛を死なせてしまった

 福島県産の農産物が苦しんでいる。果物だけでなく、野菜も米も肉も牛乳も、あらゆる物が放射能汚染を疑われ、消費者離れを起こしているのだ。福島ブランドに再生の途はないのか。本誌は25年前に原発事故を起こしたロシア(旧ソ連)・チェルノブイリ周辺のウクライナ、ベラルーシに飛び、放射能汚染に対する農業政策の実態を取材した。そこで見たものは、「放射能との共存」を大前提にした農業だった。前号に続き現地ルポをお届けする。

プルシアンブルーの効果

 今回、本誌が向かったのは、チェルノブイリ原発から約50km圏にある農業エリアだ。この周辺は「中程度汚染地域」にあたる。詳細は後述するが、原発事故直後から政府の政策で様々な除染が試みられてきた。ウクライナ人のガイドが言う。

「'86年4月の事故直後、政府は広範囲の線量マップを作りました。高線量の放射能が確認された地域では、農業や酪農を中止。中程度の汚染地域では、乳牛の飼育を禁じました。セシウム137などがミルクに濃縮されやすいからです。また、汚染されていない餌を与え、家畜の体内の汚染量を下げる対策もとりました」

 ロシア政府の方針は明確だった。まず、概ね30km圏内の住民らを早急に避難させる一方、事故発生2ヵ月後までに、牛約9万5500頭、豚約2万3000頭が殺処分された。放棄された農場の面積は、ウクライナだけでも約5万7000haにもなったという。

「そして'86年6月からは、セシウムの汚染数値を低減させるため、牛などの餌として牧草を使うのはやめて、放射性物質を吸収しにくいトウモロコシで飼料を作るなど、生産段階での汚染を防止する方法を積極的に採用しました。それでも汚染された肉牛が見つかった場合は、ハムやソーセージ、ハンバーグなど加工食品にして出荷するように義務づけた。汚染数値の低い肉と混ぜて加工することで濃度が薄まるからです。牛乳に関しても、同様に加工すると放射能汚染が低くなるため、チーズなどの乳製品に加工して出荷することが義務づけられました」(前出・ガイド)

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