「こりゃすごい!」
1月下旬、西武ライオンズの若手が自主トレを行う西武第2球場を訪れた記者たちは、ある選手の投球練習を見て一様に驚きの声を上げた。
菊池雄星。今年の斎藤佑樹(日本ハム)同様、「黄金ルーキー」としてフィーバーを巻き起こした、去年の「春までの主役」である。
「球が指にしっかり掛かったときのストレートは、やはり惚れ惚れするものがある。当たり年といわれる今年の新人たちと比べても、一、二を争う素材」(スポーツジャーナリスト)
自主トレで、高校時代の好調時のフォームに戻したことで、調子が上がってきた。
「7割そこそこの力で140㎞超の球を投げていましたから、やはりモノが違う。球だけをみたらエース級ですよ」(球団関係者)
雄星「復活」の裏には、西武首脳陣が実施した「軟禁」作戦があった。
前出の球団関係者が明かす。
「雄星が希望した涌井との合同自主トレを却下し、所沢で練習をやらせた。表面上、直接指導はしないですが、コーチ陣の目の届くところでやらせたというわけです」
2月1日からの春季キャンプは一軍スタートが決まっているが、首脳陣のひとりはその意図を「猶予期間終了の合図」だと語っている。
「今季ドラフト1位の大石(達也=早大)と競わせて、尻に火をつけるのが狙いです。もう遊びは終わりということ」
昨年は左肩の故障や大久保博元コーチ(当時)との確執もあって、二軍で2試合の登板にとどまったが、ようやく眼の色が変わってきた。
とはいえ雄星はやっぱり雄星。
「このオフも、地元・花巻のショッピングセンターをヴィトンのバッグにサングラスという派手な格好で闊歩して、ひんしゅくを買っていたそうです」(スポーツ紙デスク)
佑ちゃんのお株を奪えるかどうかは、能力云々ではなく、どれほど意識改革を徹底できるかにかかっているようだ。