9・11を予告した男、そしてアサンジーー世界を震撼させた男たちになぜインタビューできたのか
田原総一朗×野口修司(ジャーナリスト)第2回
第1回はこちらをご覧ください。
田原: 野口さんてすごい人で、もうひとつ世界的なスクープを放っているんです。いまのロシア、かつてのソ連の最大のスパイですね?
野口: (笑)
田原: ラストヴォロフ。
野口: ゾルゲが最大でしょう。ラストヴォロフはナンバー2だと思います。
田原: ゾルゲね。彼はもう、処刑されました。そのラストヴォロフにインタビューした。
野口: これは世界、最初で最後ですね。
田原: どこですか?
野口: CIA本部近くのバージニア州マクリーンというところにあるホテルですね。
田原: ラストヴォロフはソ連の大スパイだったのが、ソ連を裏切ってCIAに協力したんですか?
野口: そうです。
田原: どういうことですか?
野口: アメリカに亡命しました。1954年のことです。当時の日本の新聞では一面トップで、大きな報道してました。
田原: もちろん覚えてますよ。衝撃的でした。
野口: 亡命なのか、誘拐なのかと騒がれました。ソ連側はアメリカに誘拐されたと言ってたんですね。
田原: 誘拐? 拉致されたと?
野口: そうです。拉致されたと。事実は亡命だったんですがね。とにかく、行方不明になってたんです。
田原: そのラストヴォロフにインタビューした。
野口: はい。
ソ連最大のスパイへのインタビュー
田原: なんでそんなインタビューができたんですか?
野口: これも長年、CIAとかインテリジェンスというか、諜報関係の人たちに取材してますから、人間関係があるんです。
たまたまNHKの仕事で依頼があったんですけど、今回のウィキリークスと同じように、周辺取材ができないかと。ラストヴォロフを知っているCIAの関係者とかにインタビューできないかと依頼があったんです。で、まあ、いろいろたどっているうちに、ある日突然、本人から電話がかかってきまして(笑)
田原: 本人から!? ラストヴォロフから!?
野口: そうです。
田原: なんで野口さんに電話かかってきたんですか (笑)
野口: だから、今回もそうなんですけど、いろんな人から電話が多かったんです。
田原: で、インタビューした。
野口: そうです。
田原: どのくらいインタビューしましたか
野口: これも実は2日間にわたってインタビューしたんですね。
田原: 2日間も。それは英語でやるんですか?
野口: 英語です。彼はもう、ほとんどアメリカ人と同じぐらい上手い。
田原: そうか、スパイだから英語がしゃべれるんだ、当然ね(笑)。
野口: そうです。彼は後に亡くなった時にワシントンポストの1面を飾った大物です。
田原: なるほど。
野口: ほとんど、誰も知らなかったんです。彼の前歴ていうのは。それをインタビューしました。