鉢呂経産相の「放射能つけちゃうぞ」発言で、野田新政権は冒頭から躓いたが、ここで笑いものになっているのが実は報道しているマスコミだということに、マスコミ自身が気づいてないようだ。
日本がだらしのない国になってしまったのは、政治の責任と言われながらも、それを加速しているマスコミの罪は重い。
鉢呂経産相は、福島の視察から帰って、番記者とじゃれあって、「(放射能を)つけちゃうぞ」と言ったようだ。そこには大臣と記者しかいなかった。その話を聞いた某社デスクが「書け」と言ったので、この話がニュースとして報道されたというのが真相らしい。
仲間内のじゃれあいを字にして、鬼の首を取ったようにはしゃぐ。これに喜んだのが、野党だ。野田新政権の最初の失点として、「任命責任」などと騒いでいる。相変わらずだ。
こういう時に、テレビは野党幹部のコメントを求める。谷垣、山口、志位、渡辺といった「いつもの面々」が、「いつもの調子」で政府を批判する。こういうのは、過去の録画を流しても全然違和感がないだろうと思ってしまう。こういう映像は見たくもない。
今回の鉢呂発言問題のお粗末は、マスコミが、こうした「いつものこきおろし」のネタを提供したというところにある。
その後の展開は当然予想できたので、マスコミは面白がっているだけだ。
でも、良識ある国民が、その構図をしっかり見ていることをお忘れなく。
問われているのは、原子力政策、この国の将来に対する見識であって、片言隻句の揚げ足取りではない。
私は、学生時代に、現役の政治部記者に「あなたたちは金魚の糞」と言って、大いに怒られたことがある。しかし、今でも政治部記者のかなりの部分が「金魚の糞」ではないだろうか。
正々堂々、政策論で政府を批判できる記者がどれほどいるのだろうか。