"栄光の10番"香川真司
「新エースの野望」

W杯サポートメンバーだった男がドイツ移籍で才能を開花させた
FORZA STYLE
9日に行われたアジア杯初戦のヨルダン戦では先発出場。果敢な飛び出しからゴールを狙った。試合は1―1でドローに終わる[PHOTO AP/アフロ]

 香川の長所は繊細なボールタッチから繰り出されるスピード溢れるドリブルとシュート。大柄な選手が多いブンデスリーガは、彼の長所を活かすのに申し分ない環境だ。そして、"ツキ"にも恵まれた。

「トップ下でプレーしていますが、もともとジダンの定位置だったんです。でも、僕の加入時、彼はケガで離脱中。だから最初はサイドでの起用を考えられていた自分に、トップ下が回ってきました」

 香川はこのチャンスを摑む。

 まずは、プレシーズンマッチで得点とアシストを記録すると、欧州リーグ予選・プレーオフのFKカラバフ(アゼルバイジャン)戦で、得意のドリブルから強烈なシュートでゴール。追加点も叩き出し、派手なデビューを飾った。試合後のスタジアムには自然とサポーターによる「カ・ガ・ワ!」の大合唱が巻き起こった。

「『サポーターに認めてもらえたかな』と思いましたね。こっちのサポーターはあまり個人名で選手を応援しないんですよ。それなのに、いきなり自分の名前を呼んでくれて本当に嬉しかった」

 翌日の英字新聞には『KAGAWA SHOW』と一面で紹介され、彼の中にも「ドイツで成功できる」という手ごたえが生まれた。それから幾度と無く、ホームスタジアムであるシグナルイドゥナパークのスタンドに、「カ〜ガ〜ワシンジ〜」のチャント(応援歌)が響くようになる。

 特筆すべきはリーグ戦の第4節。クラブにとっても、サポーターにとっても"重要な一戦"であるダービーマッチ。同じルール地方に本拠を置く、名門クラブ『シャルケ04』との一戦だ。この試合、香川は前半20分に中盤でこぼれ球を拾うと、そのままドリブルを開始。スピードとキレのあるフェイントで二人をかわすと、ゴール中央から豪快に左足を一閃。

 ボールは、ゴール左隅に突き刺さった。先制に成功すると、後半にも右からのクロスにジャンプして合わせゴール。試合はアウェーのドルトムントが3―1で勝利し、香川もドイツ中にその名を轟かせた。

「香川はファンタスティックな選手だ。我々に大きな衝撃を与えてくれた。彼はドイツで名を刻むことになるだろう」

 ドルトムントのユルゲン・クロップ監督も香川に対して賛辞を惜しまない。

 チームメイトも彼に対し、敬意と愛情を示している。エースFWのバリオスは、香川と冗談を言い合う仲だ。