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週刊現代 プロフィール

原発不明がんの正体

 ランキング表に入っているような〝メジャー〟ながんは、患者数も数万人、数千人という世界。その一方で、桁が一つも二つも少ないがんの中にも、治療がきわめて難しいものがいろいろある。

 たとえば鼻腔、目の奥、口の中など「顔にできるがん」も、症例は多くはないものの、治療が難しい。外科手術を行うと、顔の一部が除去されるため、日常生活を営みにくくなるという深刻な事情もある。

「外科治療だと、顔の半分を取り去るとか、目の横のがんなら目ごと取ってしまうということになる。以前はそうした患者さんが多くいました。それでも命を救うには手術しかなかったから、やらざるをえなかった。しかし今は粒子線治療で、顔の形を変えずに治せます。手術で治せるがんなら、粒子線治療ができる可能性も非常に高いのです」

 こう語るのは、がん粒子線治療研究センター長の菱川良夫氏だ。顔のがんのうちでも進行が早く、治りにくいものの代表は、口の中にできる悪性リンパ腫だという。

「最初は口の中にでき、わりと早く全身のリンパ節に転移します。この悪性リンパ腫は、抗がん剤と放射線を併用して治療することが多い」(菱川氏)

 ある部位にがんが見つかり、転移したものだとはわかったが、原発部位がわからない---。これを原発不明がんと呼ぶ。先日亡くなった元シャインズの杉村太郎さんや、'04年に亡くなったいかりや長介さんの命を奪ったのもこれだった。

「原発不明がんは、首のリンパ節に転移してくることがとても多いのです。ただ、その細胞を調べても、どこが原発なのかはっきりしない。原発部位がわからないと、治療の方針が立てられません。それで結局、亡くなってしまうケースが多い」(前出・平岩氏)

 あるとき平岩氏は、腹痛を訴える患者の開腹手術をしたところ、臓器が真っ黒になっていた。理由がわからず、患者に思い当たる節がないかを聞いたところ、数年前、皮膚にホクロのような黒い点があり、大きくなったり小さくなったりしながら、いつの間にか消えてしまったという。

 その黒い点は悪性黒色腫という皮膚がんで、それが腹部に転移していたのだ。そして、原発の悪性黒色腫自体は消えてしまい、転移したがんだけが腹部で増殖して原発不明がんになったというわけだ。

 原発不明がんは非常に珍しく、標準治療が確立されていない。そのため、必然的に治りにくいという。

 先に、高分化がんは悪性度が低く、進行・転移が遅いが、未分化・低分化がんは悪性度が高く、進行・転移が早いと述べた。しかし、だからといって高分化がんの方が容易とは限らない。悪性度が低い高分化だからこそ、厄介というがんもある。その好例がカルチノイドだ。彩都友紘会病院院長の中村仁信氏が言う。