完全保存版 知っておきたい
男女別治りにくいがんランキング

週刊現代 プロフィール

見つかったら数ヵ月の命

 以上が「治りにくいがんランキング」の上位に入ったもののあらましだが、下位でも油断のできないがんがある。部位別がん全体の生存率は良くても、その中で、例外的に治りにくい種類もあるからだ。

 たとえば、甲状腺未分化がんもその一つ。甲状腺がん自体は、ランキング表でもわかるように、治りやすいがんに属している。実際、男女とも5年生存率は86~93%と非常に高い。しかし、甲状腺がんの全体の症例数の5%程度しかない未分化がんが発症すると、いきなり生命の危機に陥る。

「甲状腺未分化がんは、抗がん剤も放射線も効きません。治療法が何もない。むしろ、何も治療をしないほうがいいかもしれない。気の毒ですが、見つかったら数ヵ月の命と思ってもらうしかありません。転移や痛みもあるので、すぐ緩和ケアへ移行することになります」(前出・西原氏)

 また、分類上は肝臓がんと一緒になっている肝内胆管がんも、生存率はほとんどゼロに等しいとされている。ところが前出の平岩氏は最近、この超難治がんの治療に成果を上げた。

 肝内胆管がんの患者が今年6月、前の病院では手の施しようがないと言われ、平岩氏を訪ねてきた。平岩氏は「この人は8月には亡くなるだろう」と判断したが、初診時に2人で5時間も徹底的に話し合い、「8月は生き延びよう」という目標を立てた。

「悠長なことを言っている時間がなかったので、私の考えを共有してもらおうと努めました。幸い化学療法でがんが小さくなり、目標は達成できた。次は年を越すのを目標にしているところです」(平岩氏)

 高齢者に多い前立腺がんも、5年生存率81~85%程度と治りやすいがんだ。特に80歳を超えた高齢者の前立腺がんは、放置しても成長が遅く、死に至らないケースが多いため、「天寿がん」の異名まである。

 ところが、そのすべてが天寿がんとは限らない。前立腺がんが骨に転移し、腰痛の症状が出て、整形外科で発見されるケースが多いというのだ。

「実は、骨転移した前立腺がんは治りやすくない。死亡しているケースも多く、こうなると、天寿がんと同じと言っていいのかという問題になります」(平岩氏)

 転移と言えば、ランキング最下位で生存率93~94%の精巣がんも転移しやすい。転移と聞くと、5年生存率が良くても恐ろしいイメージが湧くが、このがんは事情が違う。大阪府立成人病センターがん予防情報センター長の津熊秀明氏は言う。

「精巣がんは、30~40代の壮年期に多いがんです。診断された時点で全身に転移しているケースも割とあるのですが、このがんは化学療法(抗がん剤)が非常によく効きます。進行していても、化学療法で9割以上が助かります」