完全保存版 知っておきたい
男女別治りにくいがんランキング

週刊現代 プロフィール

「非小細胞がんはそれよりはましですが、どんなに早く見つけても、治る人は全体の5~6割程度です。また、手術ができるのはステージⅠとⅡのみ。再発の可能性も高く、非小細胞がんでも治癒は難しい。『早期発見で治る』とは限らないのです」(平岩氏)

 肺がん特有の大変さは他にもある。肺がん検診のほとんどがレントゲンで行われるが、複雑なドーム形をした肺には、心臓の裏などレントゲンに写らない場所がある。

「そこにがんができていると、発見するのは困難だし、また仮に写る場所であっても、5mm以下の大きさであれば見つけにくい。5mmを超えたがんでも、血管と重なっている場所だと、なかなか見つけられない。小さいものや心臓の裏なども調べたかったら、レントゲンは頼りにならない。CTスキャンを撮るしかありません」(平岩氏)

 平岩氏によると、肺がんは「フェイント」をやる。なぜか突然、進行が止まったり、ときに消えたりする場合があるのだ。そこで治療を中断すると、医師をあざ笑うかのように急にまた進行したり、以前より病勢を早めたりする。だから、治ったようでも気が抜けないのが肺がんなのである。

 女性の3位は肝臓がん。5年生存率は23~26%程度だから、2位と大きな差はない。ちなみに肝臓がんは、男性のランキングでは5位になっている。

 前述のように、肝臓がん患者の約8割がB型肝炎かC型肝炎に感染している。だから、その感染者たちの経過をしっかり見ていけば、肝臓がんを早期発見できる。一般的には難治がんのイメージが強いが、初期なら外科手術、ラジオ波、肝動脈塞栓療法の三大治療で、9割くらいの患者にはきちんと対応できるという。

「ただし、いったん肝臓がんを完全に治癒したとしても、B型肝炎やC型肝炎の感染が払拭されたわけではないので、また新たながんができやすい。再発率が非常に高いことが、肝臓がんの特徴です。そうやって何度治療しても新たながんができるという点で、難治です」(前出・古瀬氏)
しかも、肝炎から肝硬変になった人の3~5%が、毎年肝臓がんを発症する。1年では多そうに思えなくても、10年経てば30~50%の人ががんになるのだから、大変な数字だ。

食道がん手術の難しさ

 多発性骨髄腫(男女ともに4位で、男性5年生存率24~25%程度、女性28~32%程度)や白血病(男女ともに6位で、男性27~30%程度、女性32~36%程度)の治癒が難しいのはよく言われるが、脳・中枢神経系がん(男性7位で29~33%程度、女性5位で29~33%)の治りにくさについては、さほど知られていないのではないか。

 このがんの難しさは、脳という、人格や社会生活の根源に直結する複雑な部位にできる点にある。そのため、脳であればどこでも同じ治療をしていい、というわけではない。北海道大学大学院医学研究科特任准教授の西原広史氏が語る。

「脳の左側は運動や言語を司っているので、腫瘍ができても簡単には取り除けません。もし大きく切除すれば、言葉は出ない、字は書けない、運動もできないと、通常の生活が営めなくなります。しかし右側の腫瘍なら、大きく切除しても、手足に軽い障害が残るくらいで、字も書けて話もできる場合が多いのです」