完全保存版 知っておきたい
男女別治りにくいがんランキング

週刊現代 プロフィール

 杏林大学医学部内科学腫瘍内科教授・古瀬純司氏が説明する。

「たとえば肝臓がんの場合、患者の約8割がB型肝炎かC型肝炎の感染者です。したがって、両肝炎の感染者を見ていれば、肝臓がんの発症がある程度予測できます。ところが膵臓がんにはそういうグループがない。また、肺がんや乳がん、大腸がんには、内視鏡やCTスキャンなどの検査法がありますが、膵臓がんにはそれもない。そのため、早期の診断が難しい。患者の約半数はステージⅣ(末期)でようやく見つかっているのが現状で、手術できる人は2~3割しかいません」

 しかも、膵臓がん自体も非常に悪性度が高い。進行が早く、すぐ浸潤(周囲の臓器や組織に広がること)し、転移(原発部位から他の部位に移動し、新たながん組織を作ること)もしやすい。膵臓の周囲には神経があるので、浸潤によってかなりの痛みが生じる。非常に厄介ながんなのだ。

 膵臓がんには、抗がん剤もあまり効かないとされてきたが、最近、少し状況が変わっていたという。

「ゲムシタビンとTS-1という2種の抗がん剤を併用する試験の結果が、今年になって出ました。それによると、欧米のデータでは6~7ヵ月、日本のデータでは8.8ヵ月という生存期間の延長が認められました。うまくやれば1年延ばせられそうなレベルまできています」(古瀬氏)

 古瀬氏によると、手術ができて、その後ゲムシタビンの治療を半年続けられれば、5年生存率が20~30%くらいになるという。依然として膵臓がんが治りにくいのは間違いないが、生存期間は以前より少し改善されつつあるようだ。

検診で見つからないがん

 第2位は男女とも胆嚢・胆管がん。ただし5年生存率は男性が20~23%前後、女性が17~20%前後で、男性のほうがやや高い。患者5人のうち、4人は5年以内に死亡してしまう。

 1位の膵臓がん同様、胆嚢がんや胆管がんにも特別な検査法はなく、早期発見が難しい。胆管がんの場合、胆汁の出口である乳頭部にできたものは早くわかることが多いが、肝門部(2本の胆管が合流するところ)にできたがんは見つかりにくく、黄疸などの症状が出たときにはかなり進行しているケースが多い。そうなると手術は難しい。

「胆道がん(胆嚢、胆管、乳頭部の各がんの総称)の手術の際には、どうしても胆管を一緒に取らなければなりませんが、これは難しい作業です。手術後も患者はよく発熱する。手術ができない場合も、胆汁が流れにくいため黄疸になりやすいとか、腸内細菌によって胆管炎になりやすいといった点に対し、幅広いマネジメントを求められるので大変です」(古瀬氏)

 3位は男女で分かれた。まず男性の3位は肺がんだ。5年生存率は22~24%程度になる。

 肺がんは、小細胞がんと非小細胞がんに大別される。このうち、特に治りにくいのが小細胞がん。前出の平岩氏によると、普通のがん細胞は1ヵ月で体積が2倍になるのに対し、小細胞がんは3週間で倍増。つまり、進行が非常に早い。