2011.01.18

ハーバード大学教授 マイケル・サンデル
「これまでの私の人生の話をしよう」

2011「白熱教室」スタート!

 実は我が家は日本とは縁があります。妻の父親は在日米軍にいたことがあり米軍の歴史について研究していた人で、妻が生まれたときはちょうど日本占領について調べていました。両親が日本に対して親近感を抱いていたので、娘ができたときに日本名をつけたいと思ったそうです。それで日本の象徴である「菊」を意味する「キク」と名づけました。

 いま一番関心があるのは、リーマンショックによって、私たちはどんな教訓を得たのか、それによって今後どういう世界になるのかということです。この危機が起きる前の30年間は、市場に任せておけば、結果的に公共の利益は守られるとずっと信じられていました。市場放任の考え方に対して私たちが批判的になることはありませんでした。

 しかし、財政危機に見舞われて、この考え方にみんなが疑問を持ち始めている。それで市場の役割は何かについて再考しなければならなくなりました。これは現在、私たちが直面している最大の問題だと思います。

 最後に「正義」「公正」とはどんなものなのか---この難しい問いについて考えてみましょう。この問題を解くことはたやすくありません。私のもっとも端的な答えは、「人間にその人が得るに値するものを与えるということ」です。

 この考えに反対する人はほとんどいないと思いますが、誰が何を得るに値するのか、それはなぜかという問題は常に議論を巻き起こします。でもその議論がなければ政治哲学という分野は存在しなくなります。そうなると結局、私の職業も存在しないことになってしまうのです(笑)。

マイケル・サンデル
1953年生まれ。ブランダイス大学卒。'80年からハーバード大学で教鞭を執る。専門は政治哲学。
著書に『これからの「正義」の話をしよう』など

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