2011.01.18

ハーバード大学教授 マイケル・サンデル
「これまでの私の人生の話をしよう」

2011「白熱教室」スタート!

 ディベートのテーマに、たとえば正義や公正のような難解なものを選ぶのは、学生を刺激して、自分の力で深く考えさせるためです。私が授業で扱うテーマについては、必ず自分なりの答えを持っています。それを学生に隠そうとは思っていません。

 私が講義の最後に意見を述べるのは、自分がニュートラルであるふりをしたくないからです。自分の考えに対しては正直でありたいからです。でも、私がそれを明らかにする頃には学生たちは自分の考えがすでに固まっていて、私の考えに賛同するかどうか自ら判断することができるようになっています。

 私が「白熱教室」を続けているのは、みなのディベートのレベルを上げていきたいと考えているからです。そうすれば世の中で起こっている問題について議論した際、必ず共同体や社会のためになる優れた結論を導けるようになると思っています。

 実は日本で私の本がここまで受け入れられるとは考えていませんでした。哲学についての本がこれほど多くの人に読まれるとは想像もしなかった。

 2010年の夏に訪日したときに感じたのは、社会の大きな問題について議論したいという日本人の意欲でした。ディベートに対する飢えのようなものを感じたのです。だから私の本が読まれているのだと思います。正義とは何かだけでなく、いろいろな価値観について深く議論したい気持ちが日本人に元々あったのでしょう。この本はそれを始めるきっかけになったのかもしれません。

 東京大学では「白熱教室」を実演しましたが、訪日の前に日本人の友人たちに「日本人は議論下手だから、講義で質問しても反応がないかもしれない」と忠告されていました。そのことを信じていいかどうかわかりませんでしたが、実際にやってみて友人が言ったほど日本人は議論下手ではないことがわかりました。

 しかも議論のレベルそのものも非常に高い。もうひとつ驚いたのは、彼らにはお互いに意見を異にしてもきちんと相手の話に耳を傾ける姿勢があったことです。それにはとても感心しました。

 ハーバードの学生と東大の学生との差もあまり感じられませんでした。3年前にハーバードを卒業した私の息子も東大の講義に参加しましたが、感想を聞いたら、「ハーバードの学生の反応と東大の学生の反応は同じだ」と話していました。

いま一番関心のあるテーマ

 私は議論好きですが、もちろんいつも議論ばかりしているわけではありません。授業や研究の合間には妻と映画を観にいきます。私が好きなのはアルフレッド・ヒッチコックの作品のようなサスペンスやスリラーです。ゴッドファーザーも気に入っている映画の一つです。

 野球も好きで、ソフトボールの試合を毎週日曜にやっています。旅行にもよく出掛けます。子どもがまだ小さいときはいろいろな土地を旅しました。インドやオーストラリア、それから京都にも行きましたが、古いお寺や日本庭園の美しさはいまでもよく覚えています。

関連記事