吉原 清児:著 『医師がすすめる「最高の名医」+治る病院』
白内障・超音波極小切開手術

赤星隆幸 (三井記念病院眼科部長)

「この方は両眼の水晶体が真っ白に濁り、大変な手術でした。しかし、手術直後からはよく見えるようになりました。『ああ、見える』と嬉しさのあまり、感激の涙を流しておられました。患者さんにはそれぞれの人生があり、視力を取り戻せたことでその人生にまた光が灯り、新しい道が開けます。その手助けをすることは、眼科医の私にとって、決して飽きることのない最高の喜びです」(赤星医師)

専門家を紹介するのが一流眼科医の良識

 月曜から木曜まで、病院で一日平均30~35人の診察と手術をこなし、金曜と日曜は病院近くにある秋葉原アイクリニック、土曜は埼玉県春日部のクリニックで得意のメスを揮う。一年365日、白内障と向き合う日々だ。

 なぜそんなに働くのかと訊くと、この仕事が好きだから、好きでなくては続けられない、と答えた。

「近頃、頭が良いだけの人が医者になっていいのかとつくづく思います。頭の良さより、人間的に良い医者のほうが、患者さんも幸せです」(同)

 ひたむきに眼を治す。道具にもこだわり、白内障手術に使う器具は自ら設計した特注品だ。

「特許? 申請していません。パテント料での金儲けより、より良い白内障手術を世界中に広めたい。今の白内障手術は、まだ名人芸の世界です。私に限らず、経験豊富な眼科医は巧みな手術をします。しかし、誰がやっても同じ結果が出る白内障の手術法を現実のものにすることが、私の夢なんです」(同)

 近頃は、眼科検診などで白内障を指摘される人が増えてきた。ただし、白内障があることと、手術が必要かどうかは別問題だ。「私のところへ紹介された方には、お仕事の内容と、日常生活に不自由を感じていますかという2点をお訊ねします。不自由のない方は手術をしないこともあり得ます。また、細かい手作業である眼科の手術は専門が細分化しています。白内障が悪化して日常生活に不自由があれば我慢せず、治療実績のある眼科医を選ぶことです」(同)

 2010年現在、日本眼科学会認定の専門医数は9902人。治療上手もいれば、専門医とは名ばかりの「ただの目医者」も数多い。不得手な治療は自分で手を出さずに、その道の専門家を紹介するのが、「一流眼科医の良識」といわれる。

 赤星医師が「技術が一流」と推した主な顔ぶれは、白内障では清水公也・北里大学病院(神奈川県)教授、稲村幹夫・稲村眼科クリニック(同)院長、藤田善史・藤田眼科(徳島県)院長、永原國宏・聖母眼科(香川県)院長。緑内障では白土城照・四谷しらと眼科(東京都)院長。網膜剥離では竹内忍・竹内眼科クリニック(同)院長、田中住美・東京女子医科大学病院(同)教授。

著者:吉原 清児 (よしはら・きよし)
 
1948年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学卒。
医療ジャーナリストとして、講談社、文藝芸春秋など各メディアで幅広く執筆・発言している。
患者と医師の生の声を聞く丁寧な取材を身上に、病院の選び方、治療最前線ルポなど著作多数。
1999年以来、医療サイト「理想の病院」を主宰。
 
主な著書に『名医がすすめる最高の「がんの名医」550人+治る病院』『医師がすすめる最高の名医+治る病院』2005年版2006~2007年版2008年決定版、『家に帰りたい! 家で死にたい!』『がん医療の選び方』(いずれも講談社刊)などがある。

 

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