東日本大震災による海底地割れを
捉えた世界一の潜水船の「秘密」
「しんかい6500」に潜入!

フライデー
5348mの海底で確認された、白く変色したバクテリアの帯(マット)。長さは2m程度。右側に見えるのはしんかいの右手アーム[PHOTO]海洋開発研究機構

 と千葉さんが説明する。化粧がNGなのは、口紅など揮発性の化粧品が発火することを防ぐためだ。

 着用が義務づけられている潜航服は、F1レーサーが着る耐火性の高いレーシングスーツである。

「宇宙に行くより、海中深く潜るほうが難しい」とはよく言われることだが、深海6500mの世界はあまりに過酷だ。

しんかいのクルーが積み下ろしをしているのは「バラスト」と呼ばれる鉄製の重り。深く潜るため約1200kgを積み、浮上する時に捨てる[PHOTO]小檜山毅彦

 光がまったく届かず、周囲の水温は約1℃で、耐圧殻内も15℃程度に冷え込む。すべてのライトを点けても10m先の視界すら閉ざされており、櫻井司令は「真っ暗なアルプスを提灯の光で這って行くようなもの」

 とたとえる。一年前に海底に設置した研究用センサーを回収するミッションなど、捜し物をする場合は特に困難を極めるという。

 ビッシリと並ぶ計器や装備品の中で異彩を放っているのが、耐圧殻の中央に張られている一枚のお守りだ。千葉さんが笑う。

「香川県の金比羅山のお守りです。船の守り神ですから」

 そんな苦労の末に『しんかい』が持ち帰った写真からは、大災害の爪跡を地震調査に活かそうとする「人智」の力が伝わってくる。

「フライデー」2011年9月9日号より