東日本大震災による海底地割れを
捉えた世界一の潜水船の「秘密」
「しんかい6500」に潜入!

フライデー プロフィール
しんかいは急ぎ足で歩くぐらいのスピードで海底を潜航する。燃料の都合上、一日の潜航時間は8時間だ。6500mまで潜る場合、往復5時間かけて潜り、3時間を調査に充てる〔PHOTO〕小檜山毅彦(以下同)

 全長9.5m、幅2.7m、高さ3.2mの外観は、一見すると巨大なマンボウのようだが、ここに日本の潜航技術の粋が集まっているのだ。

「耐圧殻(コックピット)は厚さ73.5mmのチタン合金で作られており、その形は限りなく真球に近づけられています。深海6500mでは気圧が1cm2当たり680kgにも上るため、気圧を均等に分散させないと潰れてしまうからです。定員は3名で、パイロット2名と研究者1名が乗船しますが、耐圧殻の内径は2mでさまざまな計器が搭載されているため、潜航中は半身に寝そべる必要があります」

10m先も見えない世界

実際の潜航の時を再現。研究者が左側の覗き窓、パイロットが中央の覗き窓、パイロット補佐がその後ろに腰掛けるような体勢で座る

 実際に耐圧殻に入ると、閉塞感に胸が苦しくなるほどだ。四畳半のさらに半分ほどの空間に腰を下ろすと、頭上にまで隙間なく詰め込まれた計器や酸素ボンベが顔前に迫ってくる。

「水平、垂直移動用のコントローラーや、船外のアームを動かすコントローラー、ハイビジョンカメラの操縦機、母船と交信するためのトランシーバー、緊急時でも129時間は生存可能な酸素や食料などが、この一室にすべて詰まっています。段ボールで組み立てる簡易トイレも積んでいますが、今までに一度も使われたことはありません。現状では操縦に二人必要ですが、ゆくゆくは計器などを一新して、一人で操縦が可能にしたい。そうすればスペースに余裕ができますからね。また、女性研究者にはスッピンで乗ってもらいます」