ガイナーレ鳥取 「田んぼの中の敗者復活戦」

念願のJ昇格! 月給20万円弱の若手、
戦力外通告を突きつけられた元日本代表の男たち

「勝負どころに関しては、シーズンを通してうるさく言いました。上達してくれて嬉しい。来季に関しては最下位かもしれない。個の力の差は明らかですから。でも、予想ができないから、広がりはある。楽しみですよ」

 現在のチーム予算は年間約3億円。J参入の来季は新たに2億円上積みされる予定だが、それでもJ1の平均が約33億円、J2の平均が約9億円であることを考えれば、台所事情は苦しい。選手の月給も平均20万円弱、アルバイトをしながらサッカーを続ける選手もいる。

 しかし、鳥取からの下克上の響きは県民の心を高ぶらせる。クラブ関係者も「チーム発足当初、Jリーグは夢物語だったが、今や県民が可能性を信じている。昨年、あと一歩のところで昇格を逃したけど、おかげでチームの総合力は開幕当初から高かった。徐々に力を蓄え、じっくりJ1へステップアップしたい」と語る。

 鳥取市内、紅葉の山々に四方を囲まれた町立の運動公園で選手たちは週末の試合にむけてセットプレーの確認を繰り返していた。すでにリーグ優勝が決まり、練習ムードは牧歌的。若い選手には笑顔も見える。キッカーの蹴ったボールがDFの作る壁に引っかかった。瞬間、ベテランは空気を締める。「そこの壁越えないとなんも起きねえぞ!」。岡野がキッカーに吠える。

 澄んだ空気は冷たかったが、日差しだけは夏のようにじりじりとしていた。

岡野は今季、途中出場が多かった。最終戦はクロスで3点目をアシストした 〔PHOTO〕安田健示