ガイナーレ鳥取 「田んぼの中の敗者復活戦」

念願のJ昇格! 月給20万円弱の若手、
戦力外通告を突きつけられた元日本代表の男たち

ボランチの位置でチームの舵を取る服部。そのボール奪守力は今なお衰えない 〔PHOTO〕安田健示

 サッカーエリートの受けた屈辱。同年代の多くの選手が身を退く中、彼は家族を連れてJFLのガイナーレにやってきた。

「最初、JFLというのは抵抗がありましたが、自分の場合はヴェルディ(J2)で3年間のうちに2度もクビになってしまいましたからね。

 人によって評価はおカネで決まるという人がいるし、それはプロとして当然だけど、最近はサッカー観も変わりました。

 確かに給料は下がったけど、朝9時からいい大人が大好きなサッカーボールを蹴っていられるのは、とても幸せなことですよ」

 今シーズン、服部は昇格の立役者となった。ガイナーレは、昨年までは守備が不安定で連敗すると止まらない未熟さを抱えていた。

 だが、彼がボランチの位置で舵を取ることで、JFLでは破格の勝負強さを見せた。34試合31失点はもちろんリーグで最少だ。

「このチームに来てまず思ったのが、予測が付かない、ということ。代表選手は、敵、ボール、味方、スペースが見える。

 でも、ここは敵とボールは見えても、味方やスペースが見えていない選手が多い。だから、そこでそんなプレー? と思うことが多い。でも、運良くスーパープレーになることもあるんです。良くも悪くも次が読めない。ポテンシャルのある選手はいるから、彼らが輝くきっかけを作れれば、とは思いました」

 服部は鳥取に"世界標準"を持ち込んだ。「ハットさんは実績がある人だし、サッカーを知っている。人間的にも模範になるし、影響は大きい」と若手も証言している。「ボランチでコンビを組んだ実信 憲明(さね のぶ のりあき)は戦術面で目覚ましい成長を遂げた」と服部は1年を振り返る。