ロンドン暴動後の地域コミュニティから共感を集めたソーシャルメディア・キャンペーンとは

 8月6日の警官による黒人男性射殺事件をきっかけに英国各地に広がった暴動は、テレビやインターネット上での画像や動画が映し出すように、多くの若者を中心に4日間に渡って略奪や暴力行為へとかき立てました。英保険業協会によると被害予想額は2億ポンド(250億円超)を超え、逮捕者も2,800人を超え(8/15時点)、英国史上例を見ない大規模な暴動へと発展しました。

 暴動の背景にあるものは現在も多くの専門家が議論しているところですが、一部世論調査によると犯罪行為の蔓延や不良グループの台頭が筆頭の原因に挙げられ、緊縮財政政策や貧困対策の失策も挙げられています。ただ、「なぜ暴動が起きたか」という問いに対し、誰もまだ明確な理由づけをすることが出来ない状況のようです。

 イギリスの多くの若者が利用している携帯端末ブラックベリーのメッセージ機能(BBM:
BlackBerry Messenger)が今回の暴動の拡大に広く活用されたとして、キャメロン英首相も「ソーシャルメディアサービスの規制」を検討していると発言、国民からの反発を招いている状態でもあります。

 そんな中、有志のロンドン市民が自発的に始めたいくつかの取り組みは、短期間の間に数多くの人の共感を得て広がり、英国民の誇りと希望を持たせることに一役買っています。そんな例を3つ、今回はご紹介します。

1.「理髪師アーロンさんに散髪を続けてもらうための寄付キャンペーン」

 暴動が起きた地域で過去41年間に渡って理髪店を営んでいたアーロン・バイバー(Aaron Biber)さん(89歳)は、暴動が起きた週末の間にすっかり荒らされた店内を見て、保険にも加入していなかった為、お店を閉じるしかありませんでした。

「Keep Aaron Cutting」と名付けたブログサイトより

 そこで、アーロンさんの窮状を知ったロンドンの広告代理店でインターンをしている若者3人が、「(批判にさらされている)若者がテクノロジーを使うことで社会にいいことを実現しうることを証明したい」ということでインタビュー動画を作成し、シンプルなブログを立ち上げたのです。「Keep Aaron Cutting」と名付けたサイトはツイッターでも9 000回以上Retweetされ、たった2日間で3万5千ポンド(約438万円)を集めることに成功しました。

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