竹島問題を注視するロシア
この問題に対して日本政府が腰が引けた態度を取っていると、ロシアに足許を見られる

佐藤 優 プロフィール

 一方、ロシアと日本の間の領土争いは、また別だ。日本には、真剣勝負でロシアとの経済関係を発展させようという明確な関心はない。もしあれば、騒ぎがあったり何らかの行動がなされても、領土問題は忘れられるという事はないとしても、貿易やその他の交流を妨げることはないだろう。

 例えば、韓国と中国の間には、領土問題ばかりでなく、韓国が極めて関心を抱いている密売・不法販売や労働力の問題なども存在している。そのため韓国人達は、そもそも、韓国と中国の間にいかなる領土問題が存在するのかに対し、あまり関心が向かないのだ。もちろん韓国人的な激した発言がなされ、騒がしい抗議行動は催されるが、それはその時だけの事だ。」

 なお先日モスクワで行われたロ日協議では、南クリールにおける共同経済活動についての問題が提起された。日本側が、ロシアの提案に対し早急に、まして肯定的な回答をよせると期待する事は、おそらく難しいだろう。

 しかし、国と国との間で領土問題が例えあったとしても、完全に正常な経済的協同行動を行う例、協力し合える例というものは、実際あるように思われてならない。なぜ、ロシアと日本は、そうした例に従って前へと進めないのだろうか。 〉(http://japanese.ruvr.ru./2011/07/31/53964577.html)

 ロシア科学アカデミー極東研究所の朝鮮(コリア)研究センターは、韓国、北朝鮮の双方と交流するレベルの高いシンクタンクだ。この研究所には日本研究センターもあり、竹島問題に関しては2つのセンターが緊密に連絡をとって情勢を分析し、その結果をクレムリン(大統領府)に報告する。極東研究所は、自民党視察団が菅政権の退陣を選挙を想定した上で、ナショナリズムカードを切ったと分析している。そして、それが北方領土問題に飛び火するのではないかと警戒している。

 さらに韓国の独島(竹島)をめぐる闘争について、ラニコフ教授は、「喜劇的で誇張されたように見えるほどの、一種お芝居やショーめいた反応を示す」という突き放した見方を示す。その上で、このような領土問題をめぐる激しい感情が噴出しても、それが日韓の経済関係に影響を与えていないことに注目する。

 そして、日本が今後、北方領土問題をめぐりナショナリズムカードを弄ぶかもしれないが、竹島問題によって、日韓の経済関係が悪化しないことをロシアは参考にすべきであるという考えを示す。竹島問題に対して日本政府が腰が引けた態度を取っていると、ロシアに足許を見られる。

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著者:佐藤優
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