瀬戸内寂聴vs塩野七生「どうやって死にましょうか」

「現代ビジネス」創刊記念対談〔後編〕
現代ビジネス

瀬戸内 そのうち、わたしが女流文学賞をもらったんです。丹羽さんも選者の一人として授賞式で挨拶してくれたの。「瀬戸内君はぼくの『文学者』の同人だけど、ぼくを師匠と思ったことは一度もありません」って(笑)。その意気がいいってほめてくれた。

塩野 わたしは丹羽文雄さんってゴルフばかりやっている作家だと思っていたのですが、大した男だったんですね。そういう鷹揚な人ってなかなかいませんよね。

瀬戸内 そうなの。授賞式のとき、わたしの気持ちをわかっていてくれたんだなと思って、胸が熱くなりました。尊敬できる人格の方でした。あなたはずっとイタリアに住むようになられて、何年になるんですか。

塩野 もう40年以上になります。

瀬戸内 外から見ると日本という国がかえってよく見えてくるんだと思うんですよ。どうですか、日本というところは非常に見苦しいでしょう。

塩野 そうですね。何かここではっきりいったほうがいいんじゃないかというときにはっきりいわない。事を荒立てないほうがいいというのが官僚の論理ですけど、それがすべてを支配しているような気がします。だから元気がないように見えます。慎重になりすぎているので、すべてはちっとも前に進まないのです。

瀬戸内 慎重というか、臆病というかね。

塩野 まあ臆病ですね。

小沢さんは容貌コンプレックス

瀬戸内 昨年11月、オバマさんが日本に来たじゃないですか。そのテレビを見ていたら、鳩山由紀夫さん、オバマと遜色なくやっているんですね。まあ、よかったと思っていたら、そのうち鳩山さんがお母さんのお金をもらってたとかでワーッとみんなで叩き出したでしょう。自分たちで選んでおいてすぐダメだダメだといって落とそうとする。あれじゃ政治は続かないですよ。少しやらせてみたらいい。

塩野 減点主義というんですかね。そうじゃなくて、いい面をもっと見たらどうでしょう。よいところもやっぱりありますよ。いまの日本には寛容の精神がこれっぽっちもない。

瀬戸内 そうです。マニフェスト全部をすぐ実現しろといったって、それは無理ですよ。あの中の三つでも四つでもできたら大したものです。だからもうちょっと見てあげなければね。

塩野 マスコミは批判勢力であらねばならないということに縛られている。批判をしないとなんだか自分たちの存在理由がなくなると考えている。それが怖いんでしょう。外国から見て、日本の首相が1年ごとに替わるというのはみっともないことです。小泉政権は5年半持ったんですから、今度も衆議院議員の任期の4年くらいは続けてほしいと思います。

瀬戸内 わたしもそう思います。

塩野 まず鳩山さんは下品ではない。あとは知りません(笑)。でもそれは重要なプラスの面でしょう。

瀬戸内 第一、他国の首脳と並んだとき、背がちゃんと高いからいいですよ(笑)。

塩野 日本人としては高いほうでしょうが、もうちょっと背筋を伸ばしていただきたい。

瀬戸内 それはありますね。

塩野 外国人の中に入るとあれくらいの身長の人はたくさんいますから。

瀬戸内 奥さんが怖いから縮こまっているんじゃないかしら。

塩野 とにかくビシッとしてください。もしかしたら、そうすれば肉体的なことだけではなく日本の政治も背筋がビシッとするかもしれません。

瀬戸内 いつだったか、小沢一郎さんが、寂庵に来たことがあるんです。わたしのことだから、初対面なのに「あなたは容貌コンプレックスがおありなんですか」って訊いてしまったの。そしたら向こうはもじもじして困ってるのよ。

塩野 なんで、そのとき小沢さんは「あります」っていわなかったんだろう。