今回の震災ほど、日本人の「募金熱」が高まったことはなかった。なんとか被災地の力になりたい。だが、その善意の多くはどこかの金庫に眠ったまま。それなら直接、目に見えるところに届けよう。
被災地を応援したいが、どこへお金を送ればいいかわからない。それに、せっかく寄付するなら、すぐに役立ててもらいたい---。
そう願う人は多いはず。本誌もこうした思いから、6月11日号以降、岩手県の三陸鉄道支援キャンペーンとして記事を掲載するとともに、読者に「三陸鉄道支援募金」への協力を呼びかけてきた。7月25日現在、計369件、総額1300万円余が集まり、7月29日に第1回目の支援金をお渡ししたところだ(募金の受付期間は11月末日まで)。
三陸鉄道からは、次のような感謝のメッセージが届いたので、協力していただいた読者の皆さんに紹介しておこう。
「皆様から多大なご支援をいただき、心から感謝しています。いただいた義捐金は、弊社の復興に向けた取り組みにありがたく使わせていただきます。まだ時間はかかるでしょうが、全面復旧を目指して、社員一丸となって取り組んでいきます」(三陸鉄道総務課)
冒頭から手前ミソな話になってしまったが、本誌がこうした募金活動を始めたのは、全国の企業や団体が集めた義捐金の多くが、日本赤十字社に送られているものの、被災者の手にすぐに渡らない現状に疑問をもったからでもある。
日赤によると、7月26日現在、同社に届いた義捐金は総額約2700億円。
「これに赤い羽根募金分(約358億円)を加え、そのなかから約2600億円を各自治体に送金しました。ただし今後、新たにお金が必要な状況が起きた場合に対応するため、留保分として427億円余を残しています」(日本赤十字社企画広報室)
と、これだけ聞けば、お金の大半はすでに被災者に渡っていると思われそうだが、実際に被災者に届いたのは7月19日現在で774億円。全体の25%ほどにすぎない。使い方はともかく、被災者のためにという理由で送られた「義捐金」は、配分の際に公正・平等さが求められる。そこで、日赤からの送金を受けた15の都道県では「義捐金配分委員会」を開き、各市町村のどこにいくら配分するかを決定。それを踏まえて、こんどは各市町村でも同様の「配分委員会」が持たれ、ここでようやく被災地ごとへの配分が決まる。時間がかかるうえに、寄付した自分のお金が、どこに使われたかを知るすべもない。
今回、本誌は、自分の送ったお金がスピーディに被災地に届けられ、かつその使途も明確な「寄付金」「義捐金」「ファンド」を募っている団体をピックアップした。それをまとめたのが最終ページのリストである。そのなかから、実際に各団体がどんな活動をしているか、具体的に見ていこう。