作家・黒木亮 キムチ・ダイエットのすすめ
46日で8kgやせました

週刊現代 プロフィール

 以前は、空腹が気になっていては執筆ができないと思って、満腹感が得られるまで食事をしていた。その結果、昼食後は眠気に襲われ、一時間くらい仕事にならなかった。しかし、いまは腹六分の食事なので、眠くなることもなく、すいすい仕事ができる。昼食や夕食の一〜一・五時間前になると空腹感が頭をもたげるが、砂糖入りのコーヒーを一杯飲めば、たちどころに霧消する。

 一度、壁を乗り越えれば、七四kgから七三kgに落とすまで、わずか三日しかかからなかった。

つらさは体重が減る前兆

 しかし、この後に第二の停滞期がやってきた。七二〜七三kgの間を行ったり来たりする期間が一〇日間ほど続いたのだ。

 七二〜七三kgというのは、わたしの三〇歳くらいまでの体重で、身体がその「太古の記憶」を留めていたらしい。何とかこの線を維持させようと、「ホメオスタシス」機能をフル稼働させて、体重減少に抵抗する。時々強い飢餓感も襲ってくる。

 ここでもキムチが力を貸してくれた。キムチをおかずに、茹で野菜をもりもり食べ、コンソメスープを飲んで、飢餓感を紛らわせたのだ。この間もキムチを肴にしたワインの晩酌は止めなかった。

 停滞期を早めに突破できるよう、軽い運動もした。一時間くらいウォーキングとジョギングをして、二五〇〜三五〇キロカロリーを消費する。ただし、その分を余分に食べたりはしない。あくまで一日一五〇〇キロカロリーを守る(たまに一六〇〇くらいいくことはあるが、翌日には調整し、平均で一五〇〇キロカロリーを上回らないようにする)。

 自然の景色を眺めながら走ったり歩いたりすることは、すがすがしい。七三kg台になったとき、久しぶりに走ってみたが、身体が以前に比べて驚くほど軽くなっていた。膝も全然痛くならない。こうして、走る→体重が減る→走る、という正の循環ができ、キムチと並ぶ心強いダイエットの味方となった。

 もう一つ気をつけたのは、水分を多めに摂ることである。水分が足りないと、代謝が十分に働かず、脂肪が分解されないからだ。ダイエットの本などには一日二l飲めなどと書いてあるが、そういう無理は長続きしない。一杯飲むところを二杯とか三杯にする。水もダイエットの味方で、食事と一緒に飲むと満腹感が高まる。

 この約一〇日間に及ぶ第二次停滞期のなかでも、七二kgラインを明確に突破する二、三日前は特につらかった。頭も働かず、軽いめまいのようなものまで感じた。しかし、これはよいことが起きる前兆なのだ。もちろん仕事のペースは落とさなかった。

 体重が七一.五kgになったのは、ダイエット開始後四二日目のことだった。その後、四日で七〇.三kgまで落ちた。

 これまで二三年間越えられなかった七〇kgの壁まであと少しだ。好きなワインも飲みながら、一ヵ月半で約八kgも減らしたのだから、超がつくほど順調と言っていいだろう。

 いまは七〇.二kgだが、あと三kg落としたら、ケンタッキーフライドチキンで祝い、その後は、一日一七〇〇〜一八〇〇キロカロリーの水平飛行に移行する予定である。

くろき・りょう 1957年、北海道生まれ。早稲田大学法学部卒業後、銀行、証券会社、総合商社勤務を経て作家に。『巨大投資銀行』『エネルギー』など著書多数。最新刊に、主に金融マン時代の体験を綴ったエッセイ集『リスクは金なり』(講談社文庫)がある

 「週刊現代」2011年8月6日号より