作家・黒木亮 キムチ・ダイエットのすすめ
46日で8kgやせました

週刊現代 プロフィール

 カロリーが「ゼロ」と表示されていたのだ。「これだ! これを使えばダイエットは楽になる」

 しかし、いくら何でもゼロはないだろうと思ってインターネットで調べてみると、一〇〇gで四六キロカロリーと出ていた。それでも相当低い。しかもカプサイシンを含んでいるので、代謝もよくなる。

 わたしはキムチをダイエットの主役に据えてみることにした。これが大成功だったのである。その体験について記す前に、これまでのわたしのダイエット経験を書いておく。

 わたしの身長は一七五cmで、学生時代は体重が六一kgの「細マッチョ」だった。早稲田の駅伝チームに所属して毎日平均二〇〜二三km、多い日は五〇km近く走り、筋トレもやり、なおかつ減量もしていた(詳しくは拙著『冬の喝采』をお読み下さい)。

 ところが、大学を卒業して銀行に入った途端、ストレス解消に毎晩夕食を腹いっぱい食べ、腹いっぱいビールを飲んで寝た。これは実に気持ちのいいことだった。以後は、ご想像のとおりの転落人生である。

 それでも二〇代は、まだ代謝が活発だったので、せいぜい七二〜七三kgで止まっていた。しかし、二三年半前に三〇歳で銀行のロンドン支店に赴任してからは、一気に七八klgまで増えた。ロンドンでワインの味を覚え、自宅でケンタッキーフライドチキンやパンやチーズやナッツを肴に、毎晩飲む癖がついてしまったためである。

 さすがに八〇kgを超えるたびに「これはマズい」と慌てて食事を減らし、七五kgくらいまで落とすのだが、油断するとすぐ七八kgラインを突破し、八〇kgに迫っていく。ロンドンに腰を落ち着け、そのまま専業作家になって以降も、これは変わらなかった。

 わたしはデブ脱却願望を長年抱き、ダイエットに関する本や記事も時々読んでいた(最近では『週刊現代』三月一九日号の「名医のダイエット」)。その結果、はなはだ遅ればせながら、単純に摂取カロリーを減らせば体重は落ちるはずだと確信した。成人男性ならば二二〇〇〜二五〇〇キロカロリーが一日の摂取カロリーの目安とされている。

 そこでわたしは、昨年七月、一日のカロリー摂取を一五〇〇キロカロリー以下にするダイエットに取り組んだ。結果は一ヵ月半で三.五kg減。ただ、体力が落ちて抵抗力が弱まり、風邪をひいた。それを治すためにカロリー制限をやめると、体重は元に戻った。その後は、「デブ生活」に甘んじていたが、今年五月に転機が訪れた。

楽しみの酒は止めない

 実家が近い札幌で人間ドックを受け、例年通り高コレステロール値、脂肪肝、肥満を指摘されたあと、東京に行くために新千歳空港行きの電車に乗った。そこでばったり高校時代の友人に会った。北大医学部を出て、地元で耳鼻科を開業している男で、最近ダイエットをして、高校時代よりもスマートになっていた。彼いわく「ダイエットは二ヵ月続けないと駄目なんだよ。駄目な人は、みんな途中で止めちゃうんだ。とにかく二ヵ月続けること」。この「二ヵ月続ける」という言葉が、なぜかストンと腑に落ちた。