『お金の神様 資産を守る、投資で儲ける!』

 日本も高度成長期には経済成長率が10%以上ありましたが、ここ10年では1%程度。アメリカ、EUなどの先進国全体でも3%に満たない。アメリカの住宅バブル崩壊による後遺症は少なくても10年以上は残るでしょうから、その意味でも、世界経済はさらなる低成長時代に入ったといえます。

 中国・インドが高成長を保ち世界経済を牽引する、という反論があるかもしれない。しかし、日本と同様、経済規模が大きくなるにつれて成長率は鈍っていくはず。おまけに先進国からの投資や先進国への輸出で高成長を保っている以上、今後の先進国の経済失速の影響を免れない。

 経済が絶好調のブラジルだって、'10年5月の欧州危機時に株価は先進国より大きく下げました。新興国の堅調な株価を支えていたのも先進国のマネーであって、外資が逃げ出すと簡単に崩れてしまう。

 もはや世界経済が'07年以前のような、右肩上がりの成長をすることはない。長期運用の常識は捨て去るべきなのです。だから、私は「経済のトレンド」「相場のトレンド」を重視し、景気の拡大期・後退期に合わせて投資判断を柔軟に変えています。

 世界の景気循環のスパンが短くなっています。かつては拡大期が4~5年、場合によっては10年続き、1年ほどの後退期に入るパターンだった。今後は1~2年の拡大期の後に、1~2年の後退期になる見通しにある。

 つまり、トレンドを無視した売買は大損失の原因になる。これまで以上に「相場は相場に聞く」ことが重要です。

 グリーンスパン前FRB議長は'08年の金融危機を「100年に一度の危機」と表現しましたが、私はそうは思わなかった。こういう危機は4~5年に一度とか、もっと短い周期で起こっておかしくない。世界のGDPの伸び率をはるかに上回るペースで、金融マネーが膨張しているのですから。経済のスピードはかつてなく加速している。実際、金融危機から2年もたたないうちにEUの財政危機が起こった。

そんな環境下で株式を保有していたら、必ず暴落に巻き込まれる。5月以降のように、先行き不透明なときは投資を見送るべきで、「休むも相場」とはそういう意味です。

 じゃあ、いつトレンドが変わって、安心して買えるようになるのか。それは神様しか知らない。ただ、焦らなくても、底値を確認してから買い、高値を確認してから売れば、十分間に合う。それが「頭と尻尾はくれてやれ」です。

 ところが、底値で買って天井で売ろうとする欲張りな人が何と多いことか。'08年の暴落過程で、日経平均が1万4000円、1万2000円、1万円と節目にくるたびに「今が底だ」と騒がれた。下り坂の途中で買ってしまった人も多いはず。でも、結局、7000円まで落ちた。

 焦って含み損を抱えるより、7000円は無理でも、反転を確認した後の8000円で買うほうが賢明だと思います。