俺たちのガンプラ30年史 [後編]

「夢は歩かせること」ニュータイプ設計者の飽くなき「リアル化」の追求
FORZA STYLE
金型の仕上げの微調整は現在でも手作業。「この職人技こそ、ガンプラ製作の肝」とセンター長の佐々木克彦氏は語る

 西澤は現在、「開発」を担当している。アニメシリーズの制作会議に加わり、プラモデル化を前提としてアニメのキャラクター設定を提案していく任務だ。分かりやすく言えば、新しく登場するモビルスーツをプラモ化しようとする際、アニメ同様の動きを再現できるか西澤がジャッジするのだ。

 物理的に無理となれば、玩具メーカーの立場から「ダメ出し」を告げなくてはならない。

 こんなことがあった。アニメ『機動戦士ガンダム00(ダブルオー)』に登場するダブルオーライザーは、両肩の「GNドライヴ」と呼ばれる動力源を起動・回転させることで動き出す設定である。

 アニメの制作会議で発案を聞かされた西澤は、プラモ化できるか思案したが、結局GOサインを出した。とは言うものの、実際に図面を引き始めて、設計担当の山中とともに大いに苦しむこととなる。西澤が説明する。

「LED(発光ダイオード)と小型モーターで点灯・回転するパーツを作り、両肩にはめこみましたが、試作段階では光が回っているように見えませんでした」

 二人は緑色の光が鮮やかに回転する「発光ギミック」を完成させ、アニメの演出と同じくプラモの両肩に装着した。

 ホビーセンター長の佐々木克彦(49)は、ガンプラを生み出す工程は変わったと話す。

「もはや、テレビアニメのガンダムとプラモデルのガンダムは、まったく一緒だと言えるでしょう。アニメの設定で、変形するパターンが多くありますが、すべてプラモデルで表現できることが前提になっています。

 だから、バンダイの開発担当者は、モビルスーツの内部構造まで理解していないと、なぜプラモにすることができるのか、できないのか、アニメの制作会社に説明ができないんです。バンダイの精鋭部隊と言えるでしょう」

 RGの完成品を見た村松は、若き二人の設計者に「こんなものを作れるなんて、宇宙人じゃねえか!」と感嘆の声を上げたという。発想が先にあり、技術は後から付いてくる―。二人がみなぎらせる自信を、川口が、こんな言葉で補強する。