俺たちのガンプラ30年史 [後編]

「夢は歩かせること」ニュータイプ設計者の飽くなき「リアル化」の追求
FORZA STYLE

 こうしてガンプラ誕生から15周年にあたる'95年7月に「マスターグレード(以下、MG)」シリーズが発売された。川口らの「究極のガンプラを作る」という目標を果たすために、バンダイとしても初の試みとして、社外からメンバーを揃えた。

MGシリーズの開発に参加したMAX渡辺氏。「30年の間に超の付くほど進化したが、もうガンプラは進化しきったのでは」

 モビルスーツをデザインしたイラストレーターの大河原邦男や、ガンプラブームの火付け役となった『ホビージャパン』編集長の佐藤忠博らが名を連ねたが、学生時代の川口と並んで「ガンプラ名人」と称され、モデラーとして川口のライバルだったMAX渡辺(48=マックスファクトリー代表)もその一人だ。渡辺も、川口の意気に共感したという。

「川口さんから勧誘を受け、徹底的にリアル感を追求するという方針を聞いた時、『ついに、その時が来た!』と感激しました。その言葉で、ガンプラファンを代表する気持ちで参加したんです」

 冒頭で描いたように、MGのプロジェクトはメンバーが想像力を駆使してリアルなイメージを積み重ね、デザイン画を描き、立体原型を渡辺が製作し、それに改良を加え―という工程を経て、完成まで約1年の歳月を要した。

 発売直前、ホビージャパン主催のイベント「Japan Fantastic Convention」が東京・晴海の国際見本市会場で開催され、『究極のガンプラを作る』と題したトークステージに川口と渡辺が出演した際、両者が会場に「リアルなガンプラ、ほしいよね!」と呼びかけると、大歓声が上がったという。その手応えは当たった。

 MGシリーズの第1弾「RX-78-2 ガンダム 1/100」は、それまでのガンプラが1000円未満のラインナップが主流を占めていたところ、2500円と高額に設定された。部品数は240点で、'80年発売の1/100のガンダムの95点と比べるとおよそ2.5倍に増えた。

 社内から「価格が高すぎる」「組み立て作業をより繁雑にしたら、売れるはずがない」との声が上がったが、杞憂であった。各地の販売店には、発売初日に徹夜組が出るほどファンの行列ができたのだ。

アニメとプラモは連動する

 MGの開発によって、ガンプラにおけるリアル化路線は決定づけられた。'98年には「パーフェクトグレード(以下、PG)」シリーズがスタート。1/60スケールの大型プラモは、部品数が600を超え、価格帯も2万円台がザラだが、現在もファンに支持されている。

 そして今年7月、ガンプラ30周年を記念して発売された「リアルグレード(以下、RG)」シリーズが、現段階における、ガンプラ最高の進化の形態である。第1弾「RX-78-2 ガンダム」のサイズは1/144。つまり、村松正敏が設計した最初のガンダムと同じ大きさだ。

 村松のガンダムがパーツ数47、可動箇所13なのに対し、パーツ数207、可動箇所68。特筆すべきは、内部骨格を取り入れ、その骨格に外装パーツを付けることで完成したガンダムは手、脚の関節はもちろん、手の指までプラモとは思えないほど柔軟に動く。