皆さんは「寄付」を日常的に行いますか?
多くの人は、この質問に対してNOと答えざるを得ないでしょう。かくいう私自身も、寄付という行為はせいぜい年に数回行うか、といったところです。
2002年に行われた調査によれば、日本の寄付金の総額は、金額ベースで見ると米国の3%程度です(図)。特に個人による寄付は少なく、米国と比較するとなんと1%にも及びません。
資金不足を要因に、寄付金に頼らざるを得ない非営利組織が十分な活動をできないことは、これからの社会を創っていく上での課題となるでしょう。「寄付」という行為をもっと身近にする必要があると私は考えています。
寄付を身近にするためには、一体何が必要とされるのでしょうか。そんな問いに対して、今回紹介する「JustGiving」は一つの解を与えてくれます。
JustGivingは、2001年にイギリスで作られたウェブサイトで、本国では現在までに1000万人が利用し、約5.4億ポンド(約720億円)の寄付金を集めているチャリティプラットフォームです。
その最大の特徴は、誰もが「チャレンジ」という形でチャリティ・プロジェクトを立ち上げることができ、そのプロジェクトに賛同する人たちが気軽に寄付に参加できる仕組みです。
例えば、私があるNGOのために寄付を集めたいと考えた時、私はJustGivingを使って「チャレンジ」を掲げることができます。
まず、JustGivingにアクセスし、寄付先となる審査済みの非営利組織(現在251団体が登録済み)を選択し、今回のチャリティ・プロジェクトで達成したいチャレンジを設定します。
チャレンジの内容に制限はなく「NGOのために100キロ歩きます!」でも良いですし「NGOのために来月までに10キロやせます!」でも構いません。多くの人が応援してくれるような内容にすることが、寄付金を集めるコツです。
私はチャリティ・プロジェクトに取り組んでいることを、インターネットなどを使って自分の知り合いに伝え、応援を呼びかけます。ここでの告知は基本的に個人に委ねられるため、ツイッター、ブログ、Eメール、ハガキによるダイレクトメールなどを上手く活用する必要があります。
私のプロジェクトを応援してくれる友人は、「サポーター」として私にオンラインで寄付金を託し、その寄付金はそのまま私が応援するNGOに提供されます。
チャレンジの成否に関わらず、プロジェクト終了後に寄付金は譲渡されることになります。集められた寄付金は全てオンライン上で処理されるため、チャレンジャーが「中抜き」をしてしまうといった金銭的なトラブルが発生することもありません。
普通の個人を「寄付を集める人材(ファンドレイザー)」に変えるこの仕組みは、英国では広く受け入れられています。2009年度のロンドンマラソンでは35,000人のランナーのうち21,000人がJustGivingを用いてチャリティランナーになったというから驚きです。
日本では2010年3月にスタートし、これまでに約1,000万円の寄付金を集めています。プロ野球の古田敦也さん、マラソンの有森裕子さんといった著名人もJustGivingを活用し、それぞれ数十万円に及ぶ寄付金の提供を実現しています。