PCBなどの脂溶性有害化学物質は糖尿病リスクを高める

 PCB(ポリ塩化ビフェニル)や有機塩素系殺虫剤(DDTなど)を代表とする残留性有機汚染物質(POP's)は、人体への毒性が強く、残留・蓄積しやすいために、発がん性、皮膚障害、内臓障害、ホルモン異常、精神疾患との関連性が指摘されていますが、スウェーデンの高齢者を対象に行なった研究で、さらに2型糖尿病の発症リスクを高めている危険性があることも指摘され、2011年6月23日付のオンライン版Diabetes Careで発表されました。

 この研究は、スウェーデン中部の都市・ウプサラに住む、糖尿病を発症していない70歳以上の高齢者725人を対象に行われたもので、被験者の血漿中のPCB(ポリ塩化ビフェニル)、有機塩素系殺虫剤、ポリ臭化ジフェニルエーテル、ダイオキシンなどの量を測定し、「多い」「やや多い」「やや少ない」「少ない」の4つのグループに分類し、追跡調査を実施しました。その結果、ポリ塩化ビフェニル(PCB)を血漿中に最も多く含んでいたグループは、最も少なかったグループに比べて、5年後に糖尿病を発症していた人は、8.8倍も多いことがわかりました。また有機塩素系殺虫剤は最も多いグループは、最も少ないグループに比べて3.4倍も多く糖尿病を発症していました。

 この結果について研究者らは、これらの脂溶性化学物質は毒性も強く、脂溶性のため、人体の脂肪組織に蓄積し、一度体内に入ってしまうと排出しにくく、臓器を傷つけてしまうため、糖代謝に必要なインスリンを分泌する膵臓にもダメージを与えてしまうことで、2型糖尿病を発症しやすくしているのではないかと分析し、脂肪組織の量が多い肥満者などは脂溶性の汚染物質が蓄積しやすいために注意が必要だと述べています。

医療ジャーナリスト 宇山恵子
Diabetes Care June 23, 2011