春夏連覇! 興南 島袋洋奨 「783球に込めた沖縄の熱」

体重は5㎏落ち、左腕がつりながらも、
エースは酷暑のマウンドで投げ続けた

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 宿舎の食堂で取材を受ける興南ナイン。春夏連覇を達成した横浜高校が泊まっていたのと同じ宿だった 〔PHOTO〕霜越春樹

「これまで(わずかにボールが沈む)ツーシームは投げていたんですが、ストンと落ちるようなボールがなかった。自分は腕を真上から振り下ろすタイプですから、フォークを投げたらけっこう落ちるんじゃないかとずっと考えていました。フォークを投げられれば、ランナーがいてもゴロを打たせてダブルプレーをとれる。甲子園の決勝までに少しずつ使えるようにしていきたいと思っています」

「島袋=三振」のイメージは根強いが、彼自身に三振へのこだわりは皆無。むしろ、「ゴロを打たせることこそ、自分のピッチング」と話す。

「三振が必要な場面はあるんですが、三振を狙いすぎると球数が増えてしまうし、それだけ体力を使う。一方、ゴロを打たせているほうが球数は少なくてすむし、守りのリズムが生まれるんです」

 すべては甲子園の決勝から逆算したうえで、考え抜いたことなのだ。それゆえ、島袋は沖縄大会を制した時も喜びを体で表すことをせず、淡々と「目指すのは甲子園での勝利なので」と口にするだけだった。

 40年ぶりの優勝を狙う東海大相模や智辯和歌山(和歌山)などが「打倒・興南」を掲げ、島袋包囲網が敷かれた甲子園。2回戦では強豪・明徳義塾(高知)と対戦。

 島袋は序盤にストレートの走りが悪いと判断するとすぐにツーシーム主体のピッチングに切り換え、明徳の攻撃をわずか2点(12三振)に抑えた。敵将・馬淵史郎監督に「勝つ味を知っている」とまで言わしめたピッチングだった。

 準々決勝の福島・聖光学院戦、準決勝の兵庫・報徳学園戦では、リードを許してしまうが、打線の援護により中盤に逆転。島袋も尻上がりに調子を上げ、三振の山を築いていく。いつしか甲子園通算の三振数(大会終了時に130個)は、松坂大輔、田中将大、斎藤佑樹らを超えていた。

 ただ、決勝を前に、島袋の肉体が悲鳴を上げていたのも事実だった。