間違いだらけの「家庭の医学」

時代は変わった。あなたの常識は現代医学の非常識
週刊現代 プロフィール

Q2/風邪を引いたらお風呂に入ってはいけない?

 このテーマも議論が分かれるところ。だが、よほど高熱が出ている時でもない限り、入浴しても構わないというのが、最近の考え方だ。池谷医師が続ける。

「要は疲労を招く長湯を避け、湯冷めしないよう注意すれば、問題はありません。それほど重い風邪でもないのに、1週間も風呂に入らないということのほうが、衛生上、よくありません。

 精神的なリフレッシュも期待できますので、ぬるめのお湯にさっと入って、さっと体を洗って出ます。軽くシャワーを浴びたり、足湯だけにとどめておくのもいいでしょう」

 ただし、風呂から上がったら、タオルで汗を拭きとり、しばらく待ってから服を着たほうが無難。「湯冷めしないように」とあわてて服を着ると、服にしみ込んだ汗が蒸発するときに体温を奪うからだ。これこそが湯冷めの原因となる。

傷口を乾燥させてはいけない

Q3/妻が熱中症になってしまった。急いで水を飲ませれば大丈夫?

 たとえば、のどの渇きを感じ、立ちくらみがするといった軽度の脱水症状ならば、水やスポーツドリンクを補給することで回復は可能だ。しかし、数分間以上意識が混濁し、ちゃんと意思の疎通ができないほどの重症にすでに陥ってしまったら、決して水を飲ませてはいけない。

「塩分を含まない水を急激に摂取すると、体の電解質(ナトリウムイオンなど)のバランスが崩れます。その結果、水中毒(嘔吐やけいれん、呼吸困難などの症状が出る)を惹起する危険性がある。つまり大切なのは、水分の補給だけでなく、発汗によって減少した塩分を補うことなのです」(前出・森田医師)

 とりわけ、乳幼児の場合は注意が必要だ。仮にスポーツドリンクであってもナトリウム濃度が低いため、水中毒を引き起こしかねないからである。

「大人にしろ子どもにしろ、医療機関での迅速かつ適切な治療が一番望ましいのですが、医療機関に行けない場合には、経口補水塩(食塩とブドウ糖の混合物)を水に溶かして飲むことが適切な処置になります。家に経口補水塩がなければ、味噌を水で溶いて与えるのが有効です。濃さは通常の味噌汁と同程度を目安にすれば、血液とほぼ同一の濃度になる。減少した塩分を補うには最適です」(同)

 何かと出かける機会が多いこの季節、注意すべきは、熱中症ばかりではない。思わぬところに「間違い」は潜んでいる。

Q4/すり傷や切り傷は、消毒後、乾燥させたほうが治りは早い?

 膝をすりむいたら消毒液を塗る―。ケガに備え、どの家庭でも1本は消毒液を常備しているに違いない。しかし、その考え方もいまや現代医学においては「非常識」だというのだから、驚きだ。石岡第一病院・傷の治療センター(茨城県石岡市)の夏井睦医師が解説する。

「消毒薬はバイ菌を殺す薬と考えられていますが、実は人間の細胞も殺します。つまり、自然治癒力を持った細胞まで死んでしまうため、消毒すると傷の治りが遅くなる。したがって消毒するのではなく、大量の水で洗って細菌を除去するだけで十分なのです」