東京ヤクルト 宮本慎也
〝究極の脇役〟のキーワードは「余力を残す」

フライデー
ショートからコンバートされたサードでも、'09年から2年連続でゴールデングラブ賞を受賞している。通算犠打数は、現役最多の371

 こうした厳しい〝指導〟に耐え抜き、地道な努力を重ね、徐々に打撃の確実性はアップした。 '00年代に入ると、宮本の打率は3割前後に上昇。かつて「自衛隊」と揶揄された男は、今季も6月21日現在リーグ5位の3割4厘を記録し、通算2000本安打まであと116本に迫っている。

 そんな宮本に好調の理由を聞くと、意外な答えが返ってきた。

「余力を残しているからです。昨年は1月の自主トレ中に居残りで打ち込みをして、右ふくらはぎを痛めてしまいました。40歳を過ぎた今年は、昨年の教訓から無理をしないようにしています。若い頃は自分を追い込むまで練習してもすぐに回復していましたが、今はそうはいきません。試合で100%の力を出すために、練習はほどほどにしているんです。毎日1~2時間かけて個人トレーナーに全身をほぐしてもらい、身体をケアするようにもしています。おかげで、とても身体が軽いんですよ」

 宮本は、'01年の最後の優勝を知っているヤクルトの唯一の現役選手だ。小川淳司監督(53)からは「若手の育成にも当たってくれ」と言われているという。

「若い選手を見ていると個人主義で、お互いに干渉しませんね。僕がPL学園や野村監督の下で厳しい野球生活を送ってきた古い人間だからかもしれませんが、ある程度の規律は必要だと思うんです。最近、京セラの創業者・稲盛和夫さんやワタミ会長の渡邉美樹さんの著書を読んだのですが、成功した会社の社員には『人のため、組織のために働こう』という意識が強いことが分かります。野球も同じです。若い選手には、チームのこと、ファンのことを本気で考えてもらいたい。あと何年現役でいられるか分かりませんが、僕の目標はもう一度優勝することです。最後まで脇役として結果を残し、ヤクルトの日本一に貢献したい」

〝名脇役〟が、10年ぶりの優勝に向け首位を走るチームを牽引する。

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