2010.08.19
渡辺喜美(みんなの党代表)×長谷川幸洋(東京新聞論説委員)
「政府も日銀も二番底への危機感が足りない」
長谷川 過日、東京証券取引所の斉藤惇社長にお話をうかがったんですが、日本の中堅企業の5000から1万社くらいが日本を見限って、海外に脱出しているそうです。
渡辺 ほう、すでにそんなに。
「アジアの金融センターにはもうなれない」
長谷川 株式ディーラーも、香港やシンガポールに続々とヘッドハンティングされて日本を脱出している。だから斉藤社長は東証の役員たちにこう言ってるそうです。「"東京をアジアの金融センターに"というようなキャッチフレーズはもうやめよう。もはやそんなことはできないんだから」と。私はこのお話を聞いて愕然としました。

渡辺 う~ん。
長谷川 東京を抜き去った香港やシンガポールは、「世界の金融センターに」とうたっています。一方、東京はローカルマーケットに過ぎなくなってしまっている。日本の経済はそれほどに沈んでいるのです。
渡辺 それにくわえて、これから世界経済の二番底懸念は、かなり現実味を帯びつつあると思います。
長谷川 そうですね。
渡辺 こういう非常事態への対応が必要なときに、政府にはまるで危機感がない。どころか、増税路線がいきなり出てきたりする。この無頓着さに国民が敏感に反応したのが、今度の参院選の結果だったのだと思います。