黒川光博[虎屋社長]×壬生基博[森アーツセンター副理事長]×犬丸徹郎[帝国ホテル東京副総支配人]
初公開"軽井沢会"をご存じですか

セオリー

黒川 軽井沢会のテニスコートは、火山灰が三層になっているから、水はけがいいんです。夏の軽井沢はよく雨が降るけど、大雨の翌日でもプレイできる。皆、若い頃の付き合いの中心はテニスでしたが、今はゴルフですね。

 軽井沢会が主催する行事で最も有名なのは、大正6年(1917年)に始まり、テニスのオープントーナメントでは日本最古といわれる「軽井沢国際テニストーナメント」(軽トー)だ。現在の参加者は、延べ800名以上。下は小学生から、上は80代まで幅広い層が参加するのも、家族のためのリゾート、軽井沢ならではである。

昔の軽井沢には、不便ならではの良さがあった

--皆さんにとって、軽井沢の魅力とは何でしょうか。

犬丸 最近は仕事が忙しくて、あまり夏に行けないんですが、逆に冬場に行ったりすると、別荘の前のゴルフ場が一面の雪原になって、気持ちいいですね。東京から犬を連れてきてゴルフ場に放すと、大喜びで走り回っています。

黒川 そう。やはり軽井沢の魅力は、自然に触れられることでしょうね。若葉が芽吹く連休明けの頃も、何とも言えない、いい気分です。空気もきれいだし、そうした環境に身を置くこと自体が、一服の清涼剤というか、心の安心感やゆとりに繋がりますね。

 わずか一日滞在するだけでも違います。最近は東京から時間的に近くなりましたが、行きやすくなった反面、昔は不便ならではの良さもありました。

みぶ もとひろ1949年、東京生まれ。東久邇盛厚と昭和天皇第一皇女成子内親王の次男。1972年、慶應義塾大学商学部卒業。日本航空、第一ホテルを経て2002年、森ビル取締役。同年より、森アーツセンター副理事長。 〔PHOTO〕鶴田孝介

犬丸 僕が小さな頃は、夕立が凄かったですよ。急に風が吹いてきて、あ、夕立が来るな、と風の匂いで分かった。

壬生 降る雨にも、匂いがありましたね。

黒川 霧もすごかったですが、今は本当に少なくなりました。それと虫の姿も減った。以前は虫がいっぱいいたし、それを食べる鳥たちもいたし、庭先をリスが走るのも当たり前。

 一年のうち1ヵ月だけでも、そうした環境で過ごすことで、東京では得られない安らぎがありましたね。

犬丸 別荘を訪ねて来る客に、ドアを開けると虫が入ってくるから「一度にみんな入って下さい」と頼んだり、家の中の電気を消してから入ったりしませんでした? 野生のキジもつがいでいたし、野生の猿や熊、キツネやタヌキまで出た。

壬生 家には鍵をかけず、皆、ベランダから出入りしていましたよね。

黒川 近所の別荘に勝手に下駄履きで上がり込んだり。

犬丸 そういうコミュニティが、以前はしっかり存在していたんですね。

軽井沢がカッコいいなんて意識したこともない

--以前に比べて、軽井沢が変化したと感じられる点は何でしょう。