W杯を"食い物"にする八百長フィクサー

『黒いワールドカップ』著者が告発する現代サッカーの暗黒面
デクラン・ヒル

 手紙の中で自分が長くプラティニのファンであったこと、自分の著書は物議を醸してしているが、決して興味本位の話題重視ではないと書いた。さらに何年にもわたる厳しく、緻密で、危険な取材によるもので、何か彼の役に立てることがあるなら喜んで協力するとも伝えた。

 それから3週間後、私が本で勧めたように、UEFAはインテグリティー部を組織した。そして私は彼らから本部のあるニヨンに呼ばれ、UEFAの幹部たちとその部署について協議したのだ。それ以降、インテグリティー部は欧州サッカー界の汚職対策に役立っている。

 UEFAのインテグリティー部には大勢の元警官が配属され、ヨーロッパ中の国々の警官らと適切に接触できるようになっている。警官たちは国籍に関係なくお互いを理解している。外部の人間には入り込めないほどだ。

 また賭博市場でどんな怪しい兆候にも目を光らせる賭博専門家たちがいる。完璧とは言えないが、少なくとも動き始めたし、すべての欧州諸国が同じ様にすれば、適切にサッカーを守ることができる。

入り口に鍵をかけられないお菓子屋

 しかしまだまだ物足りない。日本サッカー協会を含む世界中のすべてのサッカー協会がサッカーを適切に守ることのできる同様の部署を組織すべきだ。そういう動きがないわけではない。多くの協会から協力を求められ、雇われた。例えば、オランダサッカー協会とデンマークサッカー協会。

 デンマークサッカー協会では、私の協力で特別な電話回線を設置し、選手から汚職を報告してもらうようになった。オランダサッカー協会も私が協力し、国内サッカーの取り締まりを強化するために独自のインテグリティー部を設置した。

 だがFIFAをはじめ他の多くのサッカー協会ではまだそういう対策が取られていないのが現状である。

 今のままでは、まるで、入り口に鍵をかけることができないお菓子屋を経営しようとするようなものだ。

[取材・文:山田敏弘]