W杯を"食い物"にする八百長フィクサー

『黒いワールドカップ』著者が告発する現代サッカーの暗黒面
デクラン・ヒル

 『黒いワールドカップ』ではアテネオリンピックのグループB(注:日本、パラグアイ、ガーナ、イタリアが同組で、本の中で、ガーナのステファン・アッピアー選手がパラグアイ戦で金を八百長フィクサーから受け取ったと認めている。さらに日本戦でもガーナ代表が八百長に関わったと証言されている)について触れている。

UEFAを動かしたプラティニ会長への手紙

 今回、偶然にも決勝トーナメント1回戦で日本がパラグアイと対戦したが、とくに"奇妙なこと"は何もなかった。八百長フィクサーが多くのチームや選手に近づいているのは知っているから、八百長フィクサーが、オリンピックに参加したこれらの代表チームの選手に(今回のW杯で)接触した可能性があっても驚きではない。

 ただ選手がフィクサーの話に耳を傾けたのか、ましてや彼らと「ビジネス」をしたのかどうかはわからない。

 八百長はサッカーの世界に浸食しているが、イギリスで(八百長についての)授業をすると、生徒たちは自分たちに関連することだとはあまり感じないようだ。イギリスでは、その手の汚職はアジアのみで行われていると考える。これは人種差別の1つの形態だ。だが私は合理的な選択を信じる。

 国籍や文化を超えて、同じ状況を与えられたら大体同じようなことをする人はいるだろう。選手に適切に支払いをしなければ、八百長に手を出す可能性は高くなる。日本人選手だろうが、イギリス人やアフリカ人だろうが関係ない。食い物にされたら八百長をする選手はいる。

 最大の問題は、サッカー界の内部にどんな汚職問題も一掃するのに役立つ警察が存在しないことだ。『黒いワールドカップ』がヨーロッパで出版された後、私は欧州サッカー連盟(UEFA)から本部があるスイスに招かれ、アドバイスを求められた。そしてUEFAは警察組織を設置した。

 UEFAにインテグリティー部(保全部)が組織された理由のひとつは、私たち(私とフランス語版の出版社)が、私の著書『黒いワールドカップ』と手紙をUEFAのミッシェル・プラティニ会長に送ったことがある。