永田町ディープスロート

2010年07月27日(火)

7.11参院選座談会第3弾 民主党惨敗でも消費税増税は一歩前進で「霞が関」の高笑いが聞こえる
長谷川幸洋・高橋洋一・郷原信郎・岩瀬大輔・山崎元

長谷川幸洋(東京新聞論説委員)、高橋洋一(嘉悦大学教授)、郷原信郎(弁護士)、岩瀬大輔(ライフネット生命保険副社長)、山崎元(経済評論家)、5人の論客たちによる7・11参院選開票との同時座談会は最終回。増税の行方、経済政策、そして政治の未来へと話は及んだ。                  司会は瀬尾傑(現代ビジネス編集長)

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高橋 今回自民党にとっては勝って良かったのかは、疑問ですね。

岩瀬大輔

岩瀬 どういうことですか?

高橋 つぶれるべき組織がつぶれる前に勝って延命すると、進むべき方向を間違えます。自民党は解党的な出直しをした方が良かったのに、下手に勝ってしまった。

郷原 確かに、誰も自民党に勝たせたい、自民党でいいとは思ってませんからね。

長谷川 自民党は、今回は勝ってしまったせいで後が大変になりますよ。

山崎 自民党も民主党も、どちらも衰えていきますね。

高橋 そもそも谷垣さんには、ミスがありすぎなんです。鳩山さんが6月2日の民主党両院議員総会で正式に辞意を表明する前に、不信任決議案を提出するべきでした。もちろん、信任を前提にしてです。

 信任されれば、その後、鳩山さんは辞めにくくなりますから。その程度のこともできない人が総裁で、自民党が勝つなんて。どうせ本番は衆議院総選挙なんだから、参院選は負けておいた方がいいんですよ。民主党は、長い目で見るとほっとしているでしょう。

喜んでいるのは財務省

郷原 結局この選挙の結果で、消費税はいつ上がるんでしょうね。

長谷川幸洋

山崎 早ければ2年後と菅さんは言っていましたね。

長谷川 旗は掲げたものの、来年の通常国会でも法案として通りませんよ。閣議決定するにしても、国民新党が消費税増税にはノーですから。それに、消費税増税は、決定から実施までに最低2年はかかります。すると、総選挙を間に一回挟むんですね。そこでおそらくノーという審判が国民から下されるでしょう。プログラム法で「いつからやります」と書いたとしても、実施段階でどうなるか。

山崎 「実施を止めます」という公約を掲げる政党も出てくるでしょうね。

長谷川 かつて橋本龍太郎総理は、財政構造改革法を一端成立させたにもかかわらず、97年のアジア危機でそれを凍結させていますよね。つまり法律は意外と自由自在なので、総選挙を一端挟むと、一度法案として成立したとしても「消費税はナシにします」が可能だと思います。

高橋 そうかもしれませんが、限りなく進めることは可能ですよ。消費税増税という単純な図式ではなく、どうやって進めるかです。登山の時に、2合目を目指すのか3合目を目指すのかみたいなもので、今回も、やろうと思えばできちゃいます。その布石まで打っていますよ。

高橋洋一

岩瀬 どういうことですか?

高橋 つまり、民主党としては「3合目まで行きましょう」という法案を提出して、自民党も一緒になって「OK」という可能性はあります。そこで実施に至るかどうかは、それはもちろん総選挙の後に決まることになります。けど、何合目まで行くかに関しては、その前提条件をどうするかっていうだけの話なんです。

瀬尾 今回、財務省にとっては民主党が増税の話をしたことは意味はある。

高橋 そうです。先に進めば、一合でも上に行けば、それでいいんですから。

瀬尾 選挙の焦点になっただけで、財務省としては二重丸なんですね。

法人税をゼロにすればいい

高橋 そもそも消費税をすぐにあげる必要なんてないんです。税収を増やすなど簡単なんですよ。名目成長率を上げればいいんです。

 だいたい消費税は年金の原資にするというのも滅茶苦茶で、根拠なんてない。財務省が「社会保障にリンクすれば税率を上げやすい」といったのを真に受けただけですから。

長谷川 財政の基本理論はジェネラルファンド原則ですから、ありえないんです。

高橋 社会保障財源に消費税を充てている国ってほとんどないですよ。ドイツが唯一、消費税を上げたときに、一部使いますと言ったことはあるけれども、それ以外はありません。

山崎元

山崎 地方に回せるといいと思うんですけどね。

高橋 そうです。消費税は地方の基幹財源にするのが世界の標準です。安定財源ですから。それを国が取り上げるなんてとんでもない話です。

山崎 法人税はどうですか。

高橋 セオリーだけを話すと簡単なことで、法人税と所得税は代替関係にあるんですよ。所得税で十分な財源を確保できないときに、法人税で確保するというのがセオリーです。理論的には、所得税できちんと捕捉するなら、法人税はゼロにすべきです。

山崎 ゼロがいいですよね。でも、そうなると税務署のOBが喰えなくなりますから、それはないでしょうね。

高橋 本当は、個人を番号制にすればいいんですよ。そこで課税して、きちんと捕捉して、その代わり法人税をゼロにする。だから多くの国がそこに向かっています。なのに日本は法人税の代わりに消費税という議論になっているのがおかしい。

小沢一郎問題の検察審査会で大きな動き

山崎 小沢一郎の検察審査会はどうなりそうですか。

郷原信郎

郷原 小沢問題を担当している審査会の補助弁護士、米沢敏男さんが辞任しましたよね。

一同 そうなんですか。

郷原 なので、2回目の審査は当分の間、できません。そして通常、検察審査会のメンバーは7月末で入れ替えになるんですよ。だから小沢問題は宙に浮きます。結論もおそらく変わりますね。

岩瀬 すみません、補助弁護士って何をする人ですか。

郷原 検察審査会のメンバーは市井の人で法律の専門家ではないので、その人たちに法解釈を説明する立場です。

長谷川 その補助弁護士は、なぜ辞めたんですか。

郷原 批判されましたからねえ。さすがに自分でもみっともないと思ったんじゃないでしょうか。補助弁護士というのはたまたま指名されてなるものです。米沢さんは高齢で、もしかすると政治資金規正法のことがよくわかっていなかったのかなと思います。

山崎 いまさら小沢さんが直接、政局を仕掛けることはないでしょうね。あるとしたら、やはり原口一博さんなのかな?

長谷川 原口さんに加え、細野豪志さん、それから海江田万里さんの名前が取りざたされてますね。加えて、サプライズとして小沢さん本人。

山崎 しかし細野さんは小沢さんへの忠誠度は高いかも知れないけど、FRIDAYに報じられた山本モナさんの件が大きい。すると、原口さんか、海江田さんですか。

岩瀬 民主党執行部は、今回の選挙の責任をどうとろうとしているんでしょう。

山崎 枝野幹事長の退場で許してもらおうということじゃないですか。またすぐに首相が替わるのはみっともないでしょう。

長谷川 新聞の側の理屈を説明します。投票日前日の7月10日の朝日新聞一面に、民主党幹部の発言として、改選議席数が確保できなければ「枝野幹事長の辞任は当然」と書かれているんです。幹部の口を借りるのは、新聞がずばりとは書けないときに使う手口で、とりあえずそう書いてみるんです。

 朝日がこう書くと、翌日以降、他紙もそう書かざるを得なくなります。そう書かないと、記者がデスクにバカ扱いされるからです。こうやって、マスコミの都合で枝野幹事長辞任論が自己増殖するんですよ。

 こういった論が高まる結果、ではどうなるかというと、菅、枝野、そして仙谷由人官房長官との間での内ゲバが勃発します。すでに親小沢対反小沢の内紛は始まっていますが、そこに新たな戦いが加わるわけです。

「棒振り世代はヘタレだからね」

高橋 菅政権って、菅政権ではないんですよ。実際には仙谷内閣で、菅さんの周りには人がいない。仙谷、枝野を交えて3人で話をしても、2対1で菅さんが負ける。完敗ですよ。そんな菅さんが枝野さんを切れるかというと、切れません。だいたい、仙谷さんは棒振り世代ですよ。

郷原 学生運動世代ということですか。

長谷川 ものを壊すのが得意な世代ですね。

高橋 それしかできないの。棒振り世代はヘタレですからね。

長谷川 学生運動といえば、枝野さんが小沢さんに迫った台詞がまさにそれでした。「消費税増税を批判するのは、無責任な大衆迎合だ」。「無責任な大衆迎合」って、学生運動時のキメ言葉でしょう。つまり、「お前と喧嘩するぞ」という(笑)。

郷原 枝野さんはその世代じゃないでしょう。

高橋 世代は違うけど、でも枝野さんはそういう人ですよ。仙谷さんと一緒にやってこれてるんだし。

郷原 私は政治と金の問題に関しては、枝野さんのことは評価していたんですけどね。

高橋 小沢さんという人は、政治スタンスはめちゃくちゃだけど、経済スタンスはしっかりしているんです。ところが、仙谷さんと枝野さんは、政治スタンスは、ちゃんとしているかもしれませんが、経済スタンスに問題がある。仙谷さんは、デフレ時には金利を上げろなんていっていた人ですからね。

山崎 綺麗な不景気か、汚い繁栄か、ということか。政治家としてはクリーンだけど、経済はめちゃくちゃという事実をどう評価するかは、経済人と政治をウォッチしている人とでは、別れるでしょうね。小沢さんと、仙谷枝野両氏のいいところを、菅さんがいいとこ取りできればいいんだけど、悪いとこ取りになってしまってますよね。

左右の対立から老若の対立へ

瀬尾 ここでちょっと世代論的なところも伺いたいと思います。消費税にしても、若い人たちの間には、自分たちの世代が損をするのではないかという疑念があります。すでに、国を論じるときには、左右よりも、老若の対立軸の方が、強固なような気がします。

岩瀬 年金に関して、世代別の負担額と受益額を見ると、30代は4000万円損をするという話があります。これはどこに投票しても変わらないことで、すると、どこに投票したらいの判断が難しくなります。

 そもそも消費税は、どう捉えたらいいのでしょうか。所得の少ない若者には損なのか、それとも所得はあるけれど収入のない高齢者からの税収が見込め、それが再分配につながる物なのか。そこはどう考えたらいいですか。

山崎 消費税の一番いいキャッチフレーズは、"鳩山前総理でも脱税できない"です(笑)。

高橋 高齢者からは年金を所得と見なして課税すべきですよね。それをやらないで他のことをやろうなんておかしな話です。国民番号制度を入れてやればいい。民主党にここを期待していたんだけど、やらないですよね。

 というのもそれには前提条件があって、国税庁と社会保険庁の徴収はまとめて行わないとダメ。やらないですよね、今回の参院選のマニフェストから落としたでしょう。

岩瀬 落としたんですか。

高橋 落としました。この話は官僚側から見ると嫌ですよ。国税庁も社会保険庁も自分の組織を守りたいわけですから。

岩瀬 それができるかできないかは、政権対官僚政権対官僚というパワーバランスが決めているんですね。

高橋 そうです。民主党政権は最初はそれをやるって言っていたのに、マニフェストから落としたのは、官僚からやられているんです。官僚に都合のいいようにした結果、高齢者に都合のいい政策になっている。

岩瀬 少子化問題は、若い人のマインドの表れだと思います。一度や二度子ども手当をもらえたとしても、将来はどうなるかわからないから貯蓄するに決まっています。それがもらえるからと言って子どもを産むわけでもない。

 昔のような、我慢さえしていれば給料がちょっとずつ上がっていった時代ではないので、どんな手を打ったところで、ゼロサムになってしまうと感じているのが、多くの若い人じゃないでしょうか。

郷原 さっき、参院選のマニフェストから落としたって話がありましたが、それは優先順位が下がったという意味ですか?

高橋 本来、わざわざ落とす必要はないですよね、そのまま書いておけばいいのに。それを落とすというのは、やはり官僚に言われたからとしか考えられませんね。

郷原 取り調べの可視化もそうですか。

高橋 どこかから言われて落としているんですよ。落とすには、意図があります。変更だけなら、以前の物に追加すればいいだけですから。

選挙事情でネット選挙を潰した菅政権

岩瀬 私たち若年層は、政党にとって大事な客じゃないということでしょうね。しかしそうなのであれば、今回は解禁されなかったネット上での選挙活動ができるようになれば、もしかすると変化が生まれるのかなと思います。

高橋 今回は、直前までは行ったけど、菅さんが国会を早く止めて選挙をしたくて、それで公職選挙法は改正されませんでしたね。ただの運営の問題ですよ。

岩瀬 ということは、抵抗する人はいないんですか。

高橋 いませんね。

山崎 選挙を焦ったのは、内閣支持率が下がる前にと思ったからでしょう。もう、支持率低下のカーブは予想ができますからね。

高橋 先に手を打ったつもりが、アジャストされてやはり支持率は下がりましたけどね。

瀬尾 しかし、公選法が改正されなくても、ネット上でのすべての政治的発言を自粛しなくてはならないわけではないですよね。

岩瀬 それなのに、候補者だけでなく一般の人もあぶないと思うのか、発言が減ります。

郷原 公選法のなんたるかをみんな知らないんですね。どういうものなのかを理解しないとダメでしょう。あの法律の目的は、政治が国民のために習熟していくことです。選挙活動を厳しく取り締まろうということではありません。

高橋 でも、解釈が難しいですよね。役人に聞かないとわからない。役人が法解釈をするっておかしな話です。

郷原 メディアもきちんと解説しない。結局のところ、一般の人にはわからないままにしておいた方が楽だからですよ。

今度はみんなの党が狙われる

――ここでみんなの党の渡辺代表から再び電話。

郷原 律儀にありがとうございます。私から伺いたいのは、みんなの党の存在感が高まると、検察やメディアのターゲットになるのではないかということです。事実、民主党はそうでした。

渡辺 民主党の失敗は、官僚機構を使いこなす前に、使いこなされてしまった点にあると思っています。なぜそうなったかと言えば、官僚の数を減らさなかったからです。

 新しい方針に従って新しい人材配置を行うべきだったのに、それをしなかったので、普天間の問題も予算の組み替えも、ああいう結果になったんです。それが、せっかく政権を取っても、意味がなかったと思わせてしまっているんですね。

郷原 政治と金の問題も、民主党の大きな痛手になりましたね。普天間の問題が仮になかったとしても、民主党は思うような政治はできなかったのではないかと思います。

 渡辺さんは、法務・検察改革についてはどうお考えですか。みんなの党が政権を取った場合、官僚の暴力装置とでも言うべき法務・検察界隈へは、どのように対峙しますか。

渡辺 幹部公務員の人事が非常に大事になりますね。民主党は自民党時代の人事をそのまま引き継いでしまったので。

郷原 わかりました、ありがとうございます。

――電話切れる。

山崎 みんなの党は10議席が見込まれてますね。そうなると、非改選議席と合せて11議席です。

高橋 11議席あれば、法案の議員提案が可能です。参議院では11、衆議院では21がリミットです。一人の提案者に対して、10名または20名の賛同者が必要なので。

山崎 みんなの党はどんどん法案を提出して行くみたいですけれど、最初のテーマは何になるでしょう。やはり公務員制度改革でしょうか。

高橋 それが期待されているでしょうが、ハードルの低い物からやっていった方がいいと思いますね。経済問題とか。その方がみんなにとっていいし、最初からガチンコやってにっちもさっちもいかなくては、投票した人は「損したな」と感じますからね。

岩瀬 この選挙結果は、経済にはどんな影響を与えますか。

高橋 普通は、与党が負けると政局に明け暮れるから、経済政策がおろそかになって、実はその方がいい。下手な対策を打つくらいなら、こういう政府には、何もしないでいてもらいたい(笑)。

一同 (笑)。

山崎 まあ、一般論では、与党が弱体化すると売り材料になるんですけどね。

高橋 しかし、今回躍進したみんなの党の経済政策を見ていると、これはマーケットに受け入れられますよ。となると、買い材料です。どこかの官房長官のようにデフレ対策で金利を上げると言い出すよりずっといい。

岩瀬 経済対策に関しては、どの党をとっても対立があるわけではないですからね。みんなの党の投げる球に期待したいと思います。

郷原 みんなの党っていうのは、官僚と喧嘩したいんですか?

高橋 官僚主導は止めたいんですよ。景気対策に増税をと言うような官僚の思うようになるのは。

山崎 みんなの党は、デフレ対策法案も提出するでしょうね。

高橋 そこからやればいいと思います。

郷原 さっきの電話でも渡辺さんに聞きたかったのは、キャスティングボートを握りながら、官僚の根幹的な部分に触れようとすると、民主党が受けたのと同じような干渉を受ける恐れがあるんじゃないかと言うことだったんです。

長谷川 しかし、官僚も一枚岩ではないですからね。天下り寸前のベテランと若手とではまったく意識が違うし、省庁ごとにも温度差があります。霞ヶ関の中だけを見ても、対立軸は何本もありますから。

山崎 官僚が一枚岩でないなら、官僚全体を敵に回すこともないですよね。

高橋 全体を敵に回す話と、一部を敵に回す話とがありますよ。いきなりどまんなかの話にはならないでしょう。

山崎 しかし、みんなの党は、渡辺さん以外は選挙が弱いですよね。

高橋 だから風の吹いているうちにやらないとダメです。

官僚の思惑をひっくり返せ

瀬尾 今後の政治に期待すること、岩瀬さんはどうですか。

岩瀬 中長期で見たときに、日本と外国との関わり方がどうなるのか、どうやって戦っていったらいいのか、そこに関心があります。それから、世代間格差ですね。このふたつにをどうやって舵をとっていってくれるのかを見ていきたいです。

瀬尾 さきほども少し話に出ましたが、若者は政治に大事にされていないのが現状ですね。

山崎 若者の間の利害をどうまとめるのかが難しい。そもそも人数が少ないし、そのうえ彼らは投票にも行かないですからね。

岩瀬 私たちはそう思われていることを自覚する必要がありますね。

瀬尾 山崎さんは今後の政治に何を期待しますか。

山崎 日本の景気を良くして欲しいという気持ちももちろんありますが、ビジネスマンが海外へ打って出るのを邪魔しないで欲しいと思いますね。そして、最終的には富の再配分が必要だと思っています。しかも、フェアに、ローコストで。そうすれば官僚は関われなくなるわけですから。政治には、官僚に対する抑止力になって欲しいですね。

 買いかぶっているかも知れませんが、みんなの党がキャスティングボートを握ったことで、民主党もふくめて政治の側が公務員制度改革法案を成立させようということになればなと。

 官僚から見れば、菅内閣はこけさせたつもりが、みんなの党が出てきて、政治家をてなづけていたつもりが逆襲されたというようなことが起これば、選挙もそれなりに面白いし、ねじれも悪くないと感じられると思います。

郷原 私は1年近くが過ぎて、「政権交代とは何だったのか」と思っています。有権者が何を考えるかよりも、メディアや官僚の意図が反映されている。そういう社会しか作れない国であることを如実に示したなと感じています。本当にこれでいいのかと思います。

 このままでは、岩瀬さんたちの世代が割を食っていきますよね。法曹界でもそうですが、優秀な若者を路頭に迷わすようなとんでもない方向に導く一方で、既得権益的なものを抱え込んだ法曹資格者は、まだまだ楽をしてやっていける世界がある。

 その根本にあるのは、政治だと思うんですね。ですから、検察と政治とメディアのバランスをもう一度よく考えてみる必要がある。まだまだメディアは流されるままですよ。

山崎 メディアにプレッシャーをかけるにはどうしたらいいでしょうかね。

高橋 ネットでしょう。小沢問題だって、メディアが報じていたのとはまったく違う意見がネットにはありましたよね。どっちが正しいって言う話じゃない。いろいろな意見があることが健全だという話です。ひとつの方向だけに行くというのは、やっぱりへんちくりんな話なんですよ。

瀬尾 今日話に出た、菅さんが財務省に転がされているなんていう話は、新聞には出ませんね。

高橋 出るわけない。そんなこと書いたら、記者は出入り禁止になりますから。でもほとんどの人はわかっている。だって、明らかに変わっちゃいましたから。

瀬尾 国民も、知る人は知っているという状況になっていますよね。高橋さんと長谷川さんには、総括は伺いません。それは、原稿に書いていただくので。今から5時間後、早朝3時半からのW杯の決勝開始までにお願いします(笑)。というわけで、本日はありがとうございました。

-了-
  (この座談会は7月11日に行われました。文中一部敬称略)