参院選(6月24日公示、7月11日投票)の選挙情勢ががらりと変わった。
民主、自民両党筋によると、両党がそれぞれ独自の世論調査を行ったところ、改選121議席のうち民主党は50議席以上を獲得し、自民党は40議席前後にとどまる見通しだ。

前首相・鳩山由紀夫と民主党前幹事長・小沢一郎のダブル辞任までは、「自民党が40議席台後半で第1党確実、民主党は40議席台前半、場合によっては30議席台」という形勢だった。
このままの情勢で推移するなら、首相・菅直人は9月の党代表選での再選の足場を築き、小沢は反攻の手がかりを失うことになろう。
ダブル辞任で情勢は激変
121-(22~25)=(96~99)
このように計算すると、全体の議席が分かりやすい。22~25は民主、自民両党以外が獲得する見込みの議席。残りの96~99議席を民主、自民両党が奪い合う構図だ。
22~25議席のうち、みんなの党は9議席前後を得る見通し。比例代表で5議席前後、選挙区で4議席程度が見込める。同党は「非民主・非自民」の受け皿となることを狙い、ダブル辞任前まで「フタケタ台の議席獲得も」という観測が流れていた。
しかし、ダブル辞任後、比例の投票先を聞いた世論調査で同党は激減し、日経新聞だと5月調査に比べほぼ半分の7%に落ち込んだ。確固とした組織を持たない同党は政治情勢の変化の影響を受けやすい。
公明党は比例で6-7議席、選挙区で1-2議席、合計で7-9議席と、みんなの党と肩を並べる結果となりそうだ。公明党は比例票を増やすために、各選挙区で自民党と内々選挙協力を進めているが、「近年、創価学会の運動が鈍ってきている」(自民党筋)という。
共産党は比例で4議席、選挙区で1議席を得るとみられている。社民党は比例で1-2議席にとどまる見込み。国民新党や、自民党離党組などによる「たちあがれ日本」「新党改革」、自治体首長経験者による「日本創新党」は1議席獲得に必要な100万票強に届くか、微妙な情勢だ。
民主党は比例、選挙区とも情勢が好転している。比例で「20議席に迫る」(民主党筋)という読みもあり、各選挙区で同党候補が軒並み10ポイント前後伸ばしているという。複数擁立した2人区、3人区、5人区で一時、共倒れの懸念もあったが、ほぼ解消された。
これに対し、自民党は苦しくなり、比例で12議席前後にまで落ち込みそうだ。焦点の1人区では5月段階で「自民党の19勝10敗」とみられていたが、逆転して「民主党の19勝10敗」になってきたもようだ。
「小沢復権」に検察審査会のハードル
投票日まで3週間ほどあるので、情勢は変わり得る。投票日に決める人の割合も増えてきている。投票率も当落に大きな影響を与える。菅首相が消費税率の引き上げを打ち出したことも、投票行動を左右する可能性もある。
もし、このままの情勢で推移したら民主党内の権力構造はどうなるだろうか。
9月に代表選を控えたこの時期に民主党がほどほどの勝利を収めるならば、菅を引きずり降ろす大義名分はなくなる。代表選で投票権を持つ国会議員、党員・サポーターの意向よりも、国政選挙で示された民意がはるかに重いことは言うまでもない。
逆に、小沢が狙っていた代表選における一発逆転は困難になる。また、小沢には参院選後、検察審査会の2度目の議決という高いハードルが待ち受けている。
東京第5検察審査会は4月27日、政治資金規正法違反事件で東京地検特捜部が不起訴としたことに対して、全会一致で「起訴相当」と議決した。もし、もう一度「起訴相当」と議決されるなら、小沢は強制的に起訴されることになる。
このような情勢を読み込んでいるのか、民主党内では「小沢チルドレン」からでさえ"小沢離れ"が起き始めている。小沢の復活をめぐる環境は次第に厳しさを増してきた。
(敬称略)



