週刊現代 永田町ディープスロート

2010年04月07日(水) 週刊現代 

生方さん、小沢さんにまさか
懐柔されたのではないでしょうね
聞き手 鈴木哲夫
BS11 キャスター・ジャーナリスト

 3月18日、メディアを通じて小沢幹事長を批判したことを理由に、生方さんは高嶋良充筆頭副幹事長から副幹事長辞任を求められ、それを拒否したところ、解任されることになった。ところが23日、党は一転、生方さんの副幹事長留任を決めた。

小沢氏は証人喚問に応じよ

― 小沢幹事長から直々に留任要請を受けたとのことですが、どんなやり取りが行われたんですか。

「モノをいわずしてなにが国民の代表か」
と舌鋒鋭い生方幸夫議員

生方 小沢さんからは「引き続き副幹事長として私を補佐して欲しい」というひと言でしたね。それに対して私から「分かりました。

 でも二、三お話ししたいことがあるんですが・・・」と切り出したら、「話したいことがあるのなら正副幹事長会議で話せばいいじゃないか。今は時間がないから・・・」と言って立ち上がっちゃった。

 ほんの1~2分のことです。

― 小沢さんは本心から生方さんの留任を望んでいたと思いますか。

生方 そうじゃないでしょうね。顔も強(こわ)ばっていましたし。なにしろ自分を批判した相手に「もう一回やってくれ」というのだから、心中穏やかではなかったはずです。

― 留任要請を受け入れたことで、「生方さんは小沢幹事長に懐柔された」と受け取った人も少なくない。

生方 そう誤解する人もいるようです。メールでも「がっかりした」なんていうのがいくつか来た(笑)。でも断じてそんなことはありません。「引き続き副幹事長を引き受けてくれ」と言われたら、理由もなしにその場で断るわけにはいかないでしょう。

 今回とりあえず留任の要請は受けましたけど、私はきちんとした場所でもう一回声を上げます。それが一番いい方法じゃないかと判断したということです。

― きちんとした場所、というのは?

生方 この雑誌(週刊現代4月10日号)が発売になる3月29日の月曜日に副幹事長会議が開かれますので、その場で問題提起しようと考えております。

 小沢さんが自身の「政治とカネ」の問題についてきちんと説明すること、幹事長室に権限が集中している現在の体制をもっとフラットな分権体制にすること、それから、廃止された政調を復活させて、議員全員が政策作りに参加できる体制にすることを求めるつもりです。辞表を持って、それと引き替えに訴えますよ。

 政治とカネの問題について、小沢さんはこれまで何度か記者会見の場で説明をしています。しかし世論調査の結果を見ると、国民の4人に3人が、小沢さんは辞任すべきだと思っている。

 だから有権者が十分納得できるような説明をしてほしいんです。その説明に国民が納得して「よく分かった、これは大した問題じゃないんだ」と言うのであれば、小沢さんは幹事長を続けていただければいい。

 つまり小沢さんは十分な説明をするか、しないなら幹事長を辞めるか、どちらかしかないと私は思っています。ここまできたら国会の場で、証人喚問に応じるのが一番いいと思いますよ。

― 参考人招致や政治倫理審査会じゃなくて、証人喚問にするべきだと。

生方 政治倫理審査会は非公開でテレビ中継もされないので、国民に対しての説明としては不十分かもしれませんから。まぁ何もないよりはいいでしょうけど。まずは政倫審で説明し、それでも疑問が残るというのであれば、次の段階に、ということもあり得ますけどね。とにかく国会議員なんですから、国会の場できちんと説明するべきです。

居心地が悪い

― ちろんですが、党に政調がないことで、若手議員を中心に「政策を勉強する場がない」という不満が溜まっている。このことについても生方さんは強い懸念を示されていますよね。

生方 政調不在の弊害はそれだけじゃありません。

 国民の心が民主党から離れ始めている背景には、政治とカネの問題の他に、マニフェストで掲げた政策がほとんど実行されていないという現実もあります。暫定税率を廃止すると言ったのにできなかったり、高速道路を無料化すると言ったのに、ほんの一部しかできなかったり。

 本来なら、なぜそういうマニフェストになって、なぜ実現できていないのかについて、政調会長が説明しなければならないんです。ところが民主党に政調会長はいないから、それがまったくできていない。

 本気で政調をなくして幹事長に権限を集中させるというのなら、幹事長がその説明をすればいい。でも小沢さんはそんな釈明は絶対にしないでしょう。その結果、党の政策発信力が極端に落ち込み、民主党の支持率が落ち込む原因になっているんです。

― 副幹事長会議では、こうした要望は受け入れられそうですか。

生方 「その通りだ、そうしよう」とはならないかもしれませんね。「証人喚問に応じろなんて、なにをバカなことを言っているんだ。そんなことはできない」ということなら、そこで辞表を叩きつけるまでですよ。別に副幹事長のポストにしがみつきたいわけじゃないんだから。

 ただ、「副幹事長会議でもう一度意見を述べたい」とすでにメディアを通じて表明していますから、「生方に喋らせたらまた大変になる」と警戒されて、意見を言わせてもらえない可能性もある。副幹事長会議は15分程度しか時間がないので、高嶋さんが一人で喋り続け、時間切れに持ち込んじゃうとかね(笑)。

― 留任が決まった3月23日にも副幹事長会議がありましたが、どんな雰囲気だったんですか?

生方 いや、実は私のほうから「はっきりいって、ここにいるのは非常に居心地が悪い」と言わせてもらったんですよ。「居心地が悪いけれど、また戻らせてもらいました。ただ、これからも言いたいことは言わせてもらいます」と宣言しました。

 細野豪志さんなんかは、「明日もテレビに出るんですか」なんてバカなことを聞いてきましたよ。私が「出る予定はありますよ」と言ったら、「何を言われますか」とさぐりを入れてきた。「これまで同様に、政治とカネの問題で小沢さんがちゃんと説明するべきだし、政調を復活させて議員全員が政策作りに関われるようにするべきだと訴えるつもりですよ」と言ったら、何も言いませんでしたけどね。

昔の小沢さんは違った

― 生方さんをはじめ、結成初期の民主党を知る議員は、よく「民主党らしさ」という言葉を口にしますね。小沢さんが民主党に入ってきたことで、民主党らしさが失われたと・・・。しかし一方で小沢さんがいなかったら、政権交代もなしえなかった。功罪あると思いますが、そのあたりをどう見ていますか。

生方 実はもともと小沢さんが民主党に入るきっかけは、私が作ったようなものなんです。自民党政権時代にインド洋への自衛隊派遣が問題になったとき、小沢さん率いる自由党はこれに反対していました。「武力で国際紛争は解決できない」というのが私の信条で、私が属する横路孝弘さんのグループも基本的に同じ考え。

 そこで「なぜ自由党は反対なのか聞いてみよう」ということで私たちのグループと自由党との話し合いが始まったんです。

 そうやって安全保障政策について意見交換をしていくうちに、「これなら一緒になれるね」ということで、最終的に菅直人さんと小沢さんが話し合い、民由合併が決まりました。合併後に、党内の左右の代表である横路さんと小沢さんとの間で安全保障政策に関する「横路・小沢合意」が結ばれましたが、これは私が小沢さん本人や、側近の山岡賢次さんと何度も差しでやりあってまとめたものです。

 だから小沢さんのことは、「相手の主張を聞く耳も持っている人なんだ」と理解していたんですが・・・。

― その姿勢がいまはないと?

生方 もともと民主党というのは自由闊達(かったつ)で、風通しのいい政党でした。小沢さんが幹事長になってから、だんだん風通しが悪くなり、自由な発言ができなくなっている。それが支持率低下にも繋がっている。

 それを改めるためには、まず政調を作って、幹事長室に一極集中している権力を分散させる必要があるんです。参院選に向けたマニフェストもそこで作ればいいんです。

 ところが小沢さんサイドにすれば、自分たちが握っている権限が少しでも削そがれるのは嫌なわけです。そこで幹事長室が「われわれの権限を削ごうというヤツは許さんぞ」と過剰反応した。その結果が、高嶋さんによる私の"解任"になったんです。

 ただ、私は民主党本来の、明るく、自由闊達な部分というのは失われていないと思っているんです。現在は、小沢さんの色に染められつつありますが、小沢さんが幹事長を外れれば、また本来のいい面が出てくると思いますよ。

― 小沢さんが幹事長を辞任しても、闇将軍として党の実権を握り続けるという可能性もあるのでは。

生方 そんなことを許しちゃったら何にもならない。そうなったら、またもの申すだけです。

― 小沢さんは怖くない?

生方 怖くないですよ。顔は怖いけど(笑)。同じ議員なんですから、怖いなんて言ってるようでは、それこそ政治家を辞めなければならないでしょう。

― 生方さんは今回、党の中央集権化に異を唱えましたが、肝心なのは一緒に立ち上がろうという議員が党内にいるかどうかです

生方 うーん、分からない。その辺がはっきりしない。何人かから「頑張れ」と声をかけてもらっていますが、「"頑張れ"じゃねえだろう、"一緒にやる"だろう」って言っているんだけどね(笑)。まだ小沢氏の"呪縛から解き放たれていない議員もいるんですよ。

― 後ろを振り返ったらひとりぼっちだった、ということにはなりませんか?

生方 それならそれでもいいんです。正論を吐いている分には、一人になったって国民はちゃんと評価してくれるはずですから。