「解任されかかった副幹事長職のクビがつながりましたけれど、言うべき意見が変わるなんてあり得ません。"解任騒動"で何千というメールをいただきましたが、15対1という割合で『よく言ってくれた』という内容です。中央集権になってはいけないと、民主党を良くしたいという思いで発言しただけなのですから」
「今後も正副幹事長会議でどしどし意見していく」と生方氏(3月23日、議員会館にて)〔PHOTO〕鬼怒川 毅本誌独占インタビューに応じるのは、民主党の生方幸夫副幹事長(62)である。
正直言って、この"解任騒動"ほど、民主党が幼稚な政党であることを満天下に晒した事例はない。3月17日付『産経新聞』のインタビューに生方氏が話した内容が、問題の発端だった。
小沢一郎幹事長(67)について言及した部分を引用する。
〈小沢さんに関して、今までの説明に納得していない人が圧倒的に多数で、幹事長をお辞めになるべきだという意見が多い。小沢さんがしかるべき場所できちんと説明するのが第一。それで国民の納得が得られなければ自ら進退を考えるしかないです。
国民は小沢さんが不起訴になったから全部シロだとは思っていないんですよ。おそらく説明できないんでしょうね。小沢さんは前よりだいぶ権威づけられてきたというか、権力者になってきましたね〉
正論だが、今や北朝鮮より独裁色を帯びる民主党では、そうは受け取られない。3月18日、高橋良充筆頭副幹事長が生方氏を呼び出し、以下の応酬があった。
高橋「党を批判するなら自主的に副幹事長をお辞めになったらいかがですか」
生方「そういう理由なら辞める必要はありませんね」
副幹事長会議の多数決での圧倒的多数で、いったんは「生方解任」を決めた。だが―。連休の3月20、21の両日に行われた世論調査(産経FNN)で「生方解任」を72.3%が「評価しない」とし、内閣支持率は30.5%と2月初旬の調査より12.3ポイントも減らしたことで、方針は180度変わった。
連休明けの3月23日、生方氏を幹事長室に呼び出し、小沢氏が自ら「もう一度、一緒にやってくれないか」と、副幹事長続投を要請したのである。
小沢氏が党役員会などその日午後の予定をキャンセルして決めた「続投」の判断だったが、生方氏へのサシでの言い渡しは、時間にしてわずか1分。いずれにせよ、クラスの番長に悪口を言った生徒をどうしてやろうかと取り巻きが騒ぐ構図は、滑稽を通り越して醜悪ですらある。
実は、冒頭のインタビューは、小沢氏とのサシの面談が終わった直後に行われた。本誌に、生方氏はこう続けた。
「(解任は)小沢幹事長が直接指示したわけではなく、周りが気持ちを忖度して決断したのかもしれない。小沢幹事長は口が重く、あまりしゃべらないから」
この指摘は的を射ている。政治部記者の間では、輿石東参院議員会長や山岡賢次国対委員長の"もの言い"が気になっていたというのだ。記者の一人が言う。
「彼ら小沢の"子飼い"にかぎって、『幹事長がこうおっしゃっている』と断って、意見を押し通す。しかし、本当に小沢がそう言っているのか、こちらが確認できないのを承知で小沢の威を借りているようだ。今回も高橋が勝手に判断し、小沢に事後承諾を求めた可能性は高い」
何より、"独裁者"にもの申す政治家がいないことが、こんな事態を招いたのだ。菅直人副総理(63)は、内輪の会合でこうボヤいている。
「国民には闊達にものが言えない党というイメージが広がったし、党内には鬱積が溜まった。二つのうち、どちらかが爆発したら民主党は危機的状況に陥る」
今や幹事長室に立ちこめる空気は「ピリピリしていて入るのがイヤ」(民主党代議士)とまで言われる。
小沢氏一人に気を遣って党が崩壊したら、それこそ本末転倒ではないか。民主党議員が証言する。
「結局、報復が怖いんです。小沢氏は『これで一件落着とはいかない』と側近に語っている。参院選後、反小沢を標榜したグループに冷や飯を食わせるため、今からグループの切り崩しを図っています」
名誉か否かは別として、生方氏は「"独裁者"に初めて真っ正面から意見した政治家」として語り継がれるかもしれない。



