週刊現代経済の死角

2014年07月09日(水) 週刊現代

急浮上!小保方晴子「逮捕」の可能性
理研をクビになるだけでは済まされないらしい

絶体絶命の小保方さん。いつまでもシラは切り通せない〔PHOTO〕gettyimages

もう逃げ場はどこにもない。決定的な証拠を突きつけられ、限りなく「クロ」と判定されたSTAP細胞。国民の税金を使い不正研究を続けてきたとすれば、小保方さんには最悪の結末が待っている。

研究費は国民のカネだから

「小保方晴子さんは、完全に退路を断たれています。STAP細胞はほぼ存在しないという状況に追い込まれてしまった以上、今後彼女は一連の不正責任を問われることになる。理化学研究所から懲戒解雇されるだけでは、事態は収束しません。最悪の場合、刑事告発される可能性もあります」

そう語るのは、東京大学医科学研究所特任教授の上昌広氏だ。

疑惑噴出から4ヵ月が経ったSTAP騒動についにピリオドを打つ、決定的な事実が発覚した。6月16日、STAP論文の共同著者である山梨大学の若山照彦教授が会見を開き、「STAP細胞があるということを示す証拠はない」と明言したのだ。

論文ではSTAP細胞の作製には若山教授が提供したマウスが使われたと書かれていたが、実際に使われていたのは全く別のマウスだったことが明らかになった。つまり、小保方さんはSTAP細胞が存在するかのようにみせるために、若山教授から受け取ったマウスと別のマウスをすり替え、できあがった万能細胞を「STAP細胞」としてでっち上げた—その疑いが濃厚になっている。

6月に入り、科学誌「ネイチャー」に掲載された論文の撤回が決定し、さらには理研の改革委員会によって、小保方さんの所属するCDB(発生・再生科学総合研究センター)を解体せよとの提言まで飛び出した。ただでさえ絶体絶命の小保方さんだが、若山教授の証言により、いよいよ追い詰められたと言える。

この会見に、理研内部も騒然としているという。職員がその様子を明かす。

「いま理研は、若山さんの話題で持ちきりです。若山さんはここに所属していた頃から、自分の保身よりも研究のことを第一に考える科学者でした。その若山先生が自らの不明を恥じて頭を下げた。あの姿を見て、内部の人間は口を揃えて『小保方さんはもうダメだろう』と漏らしています」

すでに世界の科学者の間では、アメリカのベル研究所で高温超電導の論文を捏造したヤン・ヘンドリック・シェーンと、韓国でES細胞の論文を捏造した生物学者の黄禹錫とともに、小保方さんのSTAP論文は「世界三大研究不正」に数えられている。日本の科学界の信頼を失墜させた小保方さんの責任は計り知れないが、彼女は今後、さらに厳しい現実と直面することになる。

「これから彼女を待っているのは、今まで使ってきた巨額な研究費の使途追及です。理研は国から補助金を得ている独立行政法人なので、運営費の大半は国民の税金で賄われています。つまり、もし捏造が確定すれば、小保方さんは国民のおカネをジャブジャブ使って不正をしていたことになります。三大研究不正のひとつを起こした黄氏は論文捏造がもとで起訴されましたが、小保方さんの行いはそれに並ぶほど悪質なものです。その落とし前は、当然彼女自身がつけなければならないでしょう」(全国紙科学部記者)

詐欺か横領か

今年3月14日に理研が開いた会見によれば、ユニットリーダーである小保方さんには1年間で研究費1000万円と、研究員を雇う場合などに使う人件費1000万円の、計2000万円が自由に使えるおカネとして配分されていた。それに加え、800万円以上という給与をあわせれば、彼女に流れたカネは年間約3000万円に達する。

また、一部報道にもあるように、小保方さんは、共同著者であり上司でもある笹井芳樹副センター長の研究費も使っていたことが判明している。笹井研究室の年間予算はおよそ6億円という莫大な金額。そのなかのいくらが小保方さんの研究費用に流用されていたのかは、いまだ不明だ。

数冊しか存在しないという実験ノートからも分かるように、小保方さんは理研に在籍していた期間、まともな研究をしていた形跡がほとんどない。彼女は一体何に巨額の研究費を使っていたのか、その使途には大きな疑問が残っている。

「小保方さんは一時期神戸の高級ホテルで生活を送っていたことが報じられていますが、その宿代も研究費から拠出されていたのではないか、という疑いがあります。さらに、彼女は笹井さんと約1年で55回も出張に同行していたことが明らかになっている。もしその出張の目的が研究外のものだとしたら、横領罪に当たる可能性もあります」(科学ジャーナリスト)

こうした疑惑に彼女が答えられず、「クロ」だと判明した場合、冒頭で上氏も指摘したように、小保方さんは刑事告訴される可能性が高い。弁護士の若狭勝氏は、こう語る。

「刑事告訴があるとすれば、考えられるのは、理研が小保方さんを訴えるパターン。なかでも現実的なのは、偽計業務妨害での告訴でしょう。STAP騒動のせいで、理研はさまざまな調査に忙殺されてしまった。そこで、理研が本来行うべき研究などの正当な業務を妨害されたというのが法的な根拠になります。

あるいは、詐欺罪での告訴もあるかもしれません。STAP細胞はまったく根も葉もない研究なのに、これはすごいものだと見せかけ、研究費をだましとったという筋ですね」

それでも抵抗しまあっす

仮に偽計業務妨害での有罪が確定すれば、3年以下の懲役または50万円以下の罰金。詐欺罪が認められると、10年以下の懲役が科せられる。若狭氏が続ける。

「もし小保方さんが刑事告訴されるような状況になれば、理研は民事上でも彼女に研究費の返還を求める可能性もあります。その場合は、損害賠償請求ということになるでしょうね」

つまり、小保方さんは逮捕されたうえに、研究費を返さなければならないという最悪の状況に陥る可能性もあるのである。

一方で、騒動の責任は小保方さんにだけあるわけではない。笹井氏を筆頭に、彼女を野放しにしてしまった理研側にも当然、重大な責任がある。その責任を問うため、市民団体が理研を訴えるというケースも起こるかもしれない。

「市民団体が刑事上で訴えを起こすなら、ありうるのは背任罪で理研関係者を告訴するケースでしょう。本来なら理研はSTAP研究が正しく行われているのか、発表前に精査するべきだった。しかし、理研がいい加減なチェックをしたために、結果的に小保方さんが多額の研究費を浪費することになってしまった。その責任について罪を問う、ということです。そうなれば、小保方さんも含めた形で理研関係者が市民団体に刑事告訴される、ということもあり得ます」(前出・若狭氏)

その場合、小保方さんの代理人の対応が注目されるが、彼女の弁護団は相手が誰であっても、徹底抗戦の構えだという。

「以前、代理人の三木秀夫弁護士に『刑事事件として立件されたらどうしますか』と訊いたことがあるんです。その際、三木さんは『どういう状況になっても彼女を見捨てるようなことはない』と断言していた。理研が訴えてくれば、三木さんをはじめとする弁護団は、あくまで戦うつもりでしょう」(前出・全国紙科学部記者)

騒動の当事者である小保方さん本人も、相変わらずSTAP細胞は存在するとかたくなに抵抗を続けている。前出のようにネイチャー論文の撤回には同意したものの、STAP細胞の検証・再現実験への参加を切望しており、「生き別れた息子(STAP細胞)を捜しにいきたい」と発言。若山教授の会見を受けて2日後の6月18日にも公式声明を発表し、実験に使ったマウスについて「(彼女が所属していた若山)研究室以外からの入手はありません」と反論した。「マウスのすり替えをしたのは私じゃない、若山先生なんだ」と、またしても若山教授に責任を押し付けようとでもしているのだろうか。

しかし、いまや彼女の言葉を信じろというほうが難しい。これほどの騒ぎを起こしてしまった以上、小保方さんがこれから科学者として生きていくことは、ほぼ不可能だ。日本の科学界の権威は地に堕ち、その信用を取り戻すのに、どれほどの時間がかかるか見当もつかない。小保方さんや笹井氏のしでかしたことで、日本の再生医学の研究は致命的な大ダメージを負った。

今後、どうすれば今回のような事件が起こるのを防ぐことが出来るのか。前出の上氏はこう答える。

「STAP問題の真相究明を徹底的に行うことも重要ですが、そもそも小保方さんのような未熟な研究者を世に出してしまった日本の教育システム、大学のあり方などを変える必要があります。とにかく根本的なところから出直さなければ、日本の科学に明日はありません」

偽りの夢を追った代償は、あまりにも高くついた。

「週刊現代」2014年7月5日号より