内藤 忍内藤忍の「グルメ設計塾」

2010年04月01日(木) 内藤 忍

平家物語グルメ設計塾編
「レストラン栄枯盛衰の法則」

 しばらく行っていなかったお店に久しぶりに行ってみたら、すっかり雰囲気が変わっていた。そんな経験をしたことはないだろうか? 私もブログなどで紹介したお店に数年後行ってみたらがっかりしたことが何回かある。どうやら、お店にも平家物語さながらの栄枯盛衰の法則があるようだ。

 たとえば、今までに無い価値を提供するお店がオープンしても最初は知名度もなく、集客に苦労する。それが、宣伝や口コミで徐々に人気が高まり、グルメ雑誌などに掲載されると段々と予約の取りにくいお店になっていく。

「レバンテ」の有名な牡蠣フライ詳細は次のページ

 ここで問われるのが店主の心意気である。いま来てくれているお客様を大切にするのか、それとも別の道に走りさらにジャンプをしようと思うのか。後者を焦るあまり、衰退していったお店は多い。

 たとえば、こんなレストラン衰退の兆候が現れたら、要注意である。

「レストラン衰退の法則」

1.郊外から都心に出店、多店舗化する

 地元の名店と呼ばれ人気が高かったお店が、六本木や銀座、丸の内などの都心に新しいお店を出店する。高い出店コストをカバーするため単価は上がり、サービスは低下。元々のお店の良さが消えていく。

2.価格が急に高くなる

 人気が出てくると、コースの最低価格を上げたり、ボリュームが少なくなったり。利益追求主義に走り出す。移転してメニュを変える例もよくあるが、「価格 > 価値」になったことに気がつかないお店は、知らない間に常連客が離れ、淘汰されていく。

3.メディア露出が急に増える

 料理人がメディアに頻出するようになれば、料理のクオリティの維持・向上にかけられる時間は減っていく。厨房は従業員任せということになれば、当然味は落ちていく。

4.別業態のお店を出す

 フレンチのお店が和食を出す、レストランなのにキャラクターグッズを販売する。異業種への挑戦から新しい発想が生まれるかもしれないが、多くの場合、経営資源が分散してしまい、最悪の場合はブランドイメージまで毀損してしまう。

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 考えてみれば、飲食店も企業経営であり、会社の栄枯盛衰と同じである。成長期には破竹の勢いだったお店も、人気店になれば慢心してしまい、お客様視点を忘れてしまいがちである。

 そんな中にも、いつまでも変わらない永遠のパワーを保つお店が存在する。そんなお店に共通するのは、変わらない良心的な価格設定、変わらない客層、そして時代の変化を取り入れつつも本質を変えない味である。結局、変わらない価値を提供しようとする店主の心意気次第なのだ。

「グルメ設計塾」で紹介したいと思っているのは、そんなブレないお店である。

<グルメの法則 7  
レストラン選びは、
変わらない価値を提供しようとする店主の心意気を重視せよ


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おすすめの「いつまでも変わらない永遠のパワーを保つお店」

「北島亭」(四ッ谷)
東京のフレンチの大御所。濃い目の味付けに、ガッツリボリューミーなそのスタイルは、昭和の時代から変わることなく、今もなお東京のレストランシーンに堂々たる存在感をしめしている。サービスも含め決して今日的ではないが、ブレのなさは貫禄すら感じる。
詳細>> 食べログ
 

「レバンテ」(有楽町)
以前は有楽町の駅前にあったが、再開発に伴い東京国際フォーラム内に移転。移転後も変わらぬ味とサービスをキープし、古くからの常連客をホッとさせた。牡蠣フライをはじめとした牡蠣料理が有名で、シーズン到来を待ちわびるファンも数多い。ちなみに今年は4月いっぱいまで。他にはローストビーフも安くておいしい!
詳細>> 公式H/P
 

「岸田屋」(月島)
バブル時代にグルメブームを牽引した国民的コミック「美味しんぼ」の、栄えある第一巻に登場している超有名居酒屋。数年前にご主人がなくなり、お刺身類がメニューからなくなってしまったが、大変チャーミングなお嬢さんがお店を手伝っており、新たな息吹が加わった感がある。東京三大煮込みのひとつに数えられる"煮込み"や絶品"肉豆腐"は健在。
詳細>> 食べログ
 

著者:内藤 忍(ないとう・しのぶ)
株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長。1986年東京大学経済学部卒業。91年、MITスローン・スクール・オブ・マネジメント卒業(MBA)。住友信託銀行、シュローダー投信投資顧問株式会社、マネックス証券などを経て2005年11月より現職。「日経マネー」などの雑誌での連載コラムや、テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍。また、早稲田大学オープンカレッジ、丸の内朝大学をはじめとするマネーセミナーや講演活動も行う。主な著書に10万部を超えるベストセラーとなった『内藤忍の資産設計塾』(自由国民社)シリーズのほか、『60歳までに1億円つくる術』(幻冬舎)『初心者は株を買うな!』(日本経済新聞社)、『内藤忍の「好き」を極める仕事術』(講談社)など多数。

監修:小関 敦之(こせき・あつし)
TVチャンピオン「築地王選手権」優勝。『築地で食べる』(光文社新書)など、築地関連書籍を次々と発表。築地歩きの第一人者として活躍する傍ら、『東京ランチレボリューション』(東京書籍)など独自の「食」人脈を生かしたグルメ本のプロデュースも手がける。また、近著『築地じこみの魚の肴』(東京書籍)ではレシピ本デビューを果たす。ちなみに本業はサラリーマン。