週刊現代経済の死角

2012年09月07日(金) 週刊現代

ひと目でわかる落選危険度ランキング付き
民主党落選議員182人実名リスト

○どうにも止まらない「橋下・維新の会」の勢い
○民主党小選挙区の当選者はわずか4人
○鳩山、菅、歴代総理が続々落選
○小沢「生活」は比例で20人当選するも、連立与党には入れない

ハト、落ちる

「総理経験者が落選するなんて話、あまり聞いたことがないね。もし鳩山(由紀夫)さんがそうなったら、地元の恥だから丸坊主にでもなってもらうしかない」

 そう話すのは、鳩山元首相の後援会幹部の一人だ。

 鳩山氏の地元は北海道9区(室蘭市、苫小牧市など)。だが選挙区内では、「落選危機」が囁かれている。

「鳩山氏の対抗馬は、リレハンメル五輪銅メダリストの堀井学氏。堀井氏はすでに9区内の登別市選出の道議会議員になっており、知名度が高い。報道各社の世論調査ではいずれも堀井氏優勢で、鳩山氏の当選確率は4割程度。つまり落選濃厚です」(地元紙記者)

 首相時代を含め、数々の失言や迷走で有権者の期待を裏切り続けただけに、鳩山氏の危機は「当たり前」と言えるかもしれない。

 だが、本来ならば腐ってもなんとやら。元首相がここまで追い込まれている事実が、民主党の惨状を物語っている。

 解散総選挙は、9~11月の間に行われる可能性が極めて高い。民主党はその時期を、極力〝後ろ倒し〟にしようとしている。なぜなら、選挙をやれば前代未聞の大敗を喫することがほぼ確実だからだ。

〈民主党の支持率は6月の前回調査から8ポイントも急落して18%となり、野党だった5年前と同水準にまで落ち込んだ〉

〈民主党支持率は2009年9月の政権交代後の最低となり、2割を下回るのは'07年3月以来となる〉(日経新聞・7月30日付朝刊)

 8月11~12日に行われた毎日新聞の世論調査でも、民主党の支持率は10%と、やはり政権交代後の最低レベル。野田佳彦内閣を「支持しない」人の割合は52%に上り、輿石東幹事長を筆頭に、民主党幹部たちが選挙を先延ばししたがる理由がよく分かる。

 ここで、恐るべきデータを提示したい。本誌は8月4日号で、全300選挙区の当落シミュレーションを実施したが、その際、民主党は小選挙区で49議席(自民党は73議席)を獲得するに止まると予測。仮に大阪維新の会が全選挙区に候補者を擁立すれば、その約半分、148議席を獲得すると試算した。

 しかし、前述のような各種世論調査を見ると、本誌の予測は控え目である可能性が出てきた。たとえば日経新聞の世論調査では、民主党が大きく支持率を落とす一方で、「無党派層」は過去最高の32%に到達した。

 この「無党派層」こそ、'09年の選挙では民主党大躍進の原動力となった〝票田〟である。ではその、現在の民主党の支持率の倍近い割合を占める層が、次期衆院選ではどこに向かうのか?その受け皿となる可能性がもっとも高いのが、「大阪維新の会」であるのは間違いないだろう。

「毎日新聞の調査でも、〝比例の投票先〟という質問に対し、民主党14%、自民党21%など、既成政党が軒並み低調であるのに対し、『その他の政党』が24%となっている。〝既存の政党ではないその他の政党〟という声が指し示すのが、まもなく国政政党に脱皮する、大阪維新の会であるのは確実です。つまり次の選挙で、維新の会は既存のどの政党よりも、大量の票を獲得するポテンシャルを秘めているということになります」(民主党選対関係者)

閣僚だろうが幹部だろうが

 次ページのリストを見ていただきたい。これは、民主党の小選挙区選出議員を「落選危険度」順にランキングしたものだ。

「落選危険度A」とは、本誌のシミュレーションで、民主党の票減少が軽微であった場合でも、落選する可能性が高い議員のリストである(民主党が野党に甘んじた'05年の衆院選で候補者が獲得した票-20%)。

 この時点で落選してしまう議員が、すでに114名。シミュレーションでは、減少分は維新の会候補に流れるものとしているが、仮に各選挙区に維新の会候補が存在しなくても、他党に流れれば同じことで、民主党の大敗は免れない。

 鹿野道彦前農水相(山形1区)、細川律夫前厚労相(埼玉3区)、海江田万里元経産相(東京1区)、長妻昭元厚労相(東京7区)、原口一博元総務相(佐賀1区)など、閣僚経験者ですら、この段階で落選候補だ。

「落選危険度B」(前出の基礎票-25%)になってくると、より深刻である。この中には、今期限りで政界を引退するという渡部恒三元衆院副議長(福島4区)も含まれるが、松原仁国家公安委員長(東京3区)、古川元久国家戦略相(愛知2区)、前原誠司政調会長(京都2区)、樽床伸二幹事長代行(大阪12区)ら、党の現役幹部たちが名を連ねてしまっている。

 さらに次の「落選危険度C」(基礎票-30%)では、冒頭で厳しい情勢を紹介した鳩山元首相がリストアップされる。実態として鳩山氏が落選しそうなのだから、この「ランクC」も、完全に〝危険水域〟だ。

「鳩山さんにまったく余裕はなく、7月以降は毎週のように地元入りして、地域の祭りや後援会回りをしています。幸夫人も月に2~3回は地元に入り、料理教室などを開いて主婦層に夫を売り込んでいます。相当危機感を抱いていますよ」(前出・後援会幹部)

 このランクには、もう一人の首相経験者、菅直人前首相(東京18区)も入っている。実は、菅氏のほうも大ピンチである。

「民主党への逆風に加え、衆院選挙区の区割り問題で、東京18区にも変更が加えられる可能性があり、菅さんが不利になると見られています。菅さんが生き残れるかどうかは、伸子夫人にかかっているでしょう。

 伸子さんは夫の代わりに選挙区じゅうをくまなく回り、民主党内では〝ノブコ・ローラー〟と揶揄されているほど。彼女が倒れたら、菅さんはおしまいです」(菅氏の側近の一人)

 そして、いよいよ「落選危険度D」(基礎票-35%)である。この想定の場合、民主党の小選挙区での得票数は約1612万票となってしまうが、実は、この数字も〝あり得る〟のだ。

 というのも、民主党が小沢一郎氏の旧自由党と合併する前、'00年の衆院選小選挙区での獲得票が約1681万票。奇しくも、今回は小沢氏が民主党を割って飛び出してしまった。小沢氏は同じ'00年の選挙で、旧自由党として約205万票を小選挙区で獲得、4議席(比例代表と合わせ22議席)を確保している。

 衰えたとは言え、小沢氏とその政党は、'00年時と同様、比例で20議席を獲る程度の票は保持していると思われる。そうした潜在票を民主党が失ったことを考慮すれば、次の選挙で、民主党が12年前のレベルに落ち込むことは十分に考えられるわけだ。

 一方、小沢氏はかろうじて政治生命が繋がるものの、維新の会から敬遠されており、次に連立与党などに加わるのは難しい。

そして〝維新〟が起こる

 ここまで来ると、まさに焦土。安住淳財務相(宮城5区)、田中眞紀子元外相(新潟5区)や、岡田克也副総理(三重3区)、仙谷由人政調会長代行(徳島1区)も落選。まさに最後の砦の重鎮たちも崩れてしまい、小選挙区でなんとか生き残る民主党議員(落選危険度E)は、なんとたったの4人になってしまう。

「自民党が最近行った調査では、『民主党は9議席』という数字が出ていましたから、4~5議席というのは異常な数字とはいえない。'93年にカナダで、当時のキム・キャンベル首相が率いていた与党・進歩保守党が、改選前の155議席から153議席を失い、わずか2議席になってしまった例もあります。小選挙区制では、何が起こるか分からない」(自民党選対関係者)

 小選挙区制では、オセロの石がひっくり返るように、一斉に政界地図が塗り変わる。下の地図は、民主党や自民党が国民の支持を失い、維新の会に最高の風が吹くシナリオ(民主・自民が基礎票を35%減らす)になった場合、全選挙区の勢力図がどう変わるかを示している。ご覧の通り、既存政党は潰滅。まさに「新しい日本」が誕生する。

 これこそ、〝維新〟だ。答えが出る日は、もうすぐである。

「週刊現代」2012年9月1日号より