男という生き物は、加齢臭と戦う宿命にある。「お父さんと私の洗濯物、一緒に洗わないで」は、10代のジョシにとって常識と化した。だが、国会の場で、女性からこんなこと言われていたなどと指摘されたら、さすがにキツくないか。
「麻生(太郎)前首相が入った風呂には入りたくない」
これ、自民党の高市早苗元少子化対策担当相が2月12日に政府に提出した質問主意書に書かれた一文である。それによれば、鳩山由紀夫首相(63)の夫人、幸さん(66)が昨年10月に首相公邸に引っ越すにあたり、麻生氏を理由に官房機密費1000万円を使って風呂場を改修したというのだ。質問の根拠を高市氏は語る。
「昨年の秋、鳩山内閣の事業仕分けが話題になっていた頃、親しい複数の役人から、幸さんの要望で風呂を改修したという話を聞きました。鳩山首相自身、公邸に引っ越す前の去年10月7日、記者から『緊急時は官邸に近い場所にいるべきでは?』と問われた際、『公邸への引っ越し準備ができていない』と答えています。
完成して日も浅い公邸なのに、何の準備がいるのか不思議に思いました。そのこともあって質問に踏み切ったんです」
質問が出された12日、国会の場で風呂場の改修を認めた鳩山首相だが、その夜には言を翻し、2月23日に、和室の床を畳からカーペットに変えた改修費など計474万円を使い、風呂場の改修はしていないとの答弁書を作成した。さらに、カネの出所は官房機密費ではなく、建物の修繕などに使える官房共通費だとしている。
過去、羽田孜首相が入居後すぐに公邸の風呂場を改装し、その次の村山富市首相がその広さに驚いた例もある。鳩山首相は本誌の取材に「高市氏の指摘は事実ではない」と答えたが、幸夫人の"リクエスト"は、実際に激しいものがあるようだ。民主党関係者が、こう明かす。
「引っ越した早々、幸さんは『他人が使った洗濯機を使えって言うの! 冗談でしょ!』と黄色い声で訴え、さらに風呂の取り替えを要求しました。それを伝え聞いた際、『温泉に入ったことはないのか』と思ったのを憶えていますから」
ちなみに、474万円のうち洗濯乾燥機2台を約61万円で買い替えている。この党関係者によれば、幸夫人は「公邸に洗濯物を干しておくわけにいかないでしょ。しっかり乾燥できるものが必要なのよ」と"理由"を説明して、官邸の事務方に"お買い物メモ"を渡したという。
しかし、忘れてはいけない。哀れなのは"汚物扱い"された麻生前首相だ。写真のとおり汗まみれだと顔が脂っぽくてキモ・・・いや、風呂は掃除すればちゃんと使えるはず。ひどすぎるじゃないか。同情を禁じ得ない本誌が麻生氏に感想を求めると、苦笑いして言った。
「(改修費)1000万円か・・・。俺も『福田(康夫元首相)の後の風呂には入りたくない』と言えばよかったなぁ」
そんなことくらいじゃ傷つかねぇ、と言わんばかりの男の背中は、デューク東郷(注・麻生氏が大好きな『ゴルゴ13』の主人公)ばりにシブかった。
〈(首相公邸は)一言で言えば体育館〉('09 年12月4日付『読売新聞』夕刊)と語った幸夫人は、今や公邸の主である。
「土、日の日程は幸夫人がつくっているとまで言われています。平日でも首相を呼び出しては外食、観劇、買い物と引っ張り回す。おとなしくさせたくても、旦那は頭が上がらない・・・」(民主党議員)
鳩山首相は2月21日、「こども食料セッション」で「この世界から足を洗ったら、農業をやりたい」と漏らした。
第二の人生を見据え始めた理由は、案外、次に"汚物扱い"されるのは自分だと見越しているからかもしれない。



