FRIDAYスポーツ

2010年02月27日(土) FRIDAY

松井秀喜に直撃!
「赤ゴジラの本音、教えます」
イチローの挑発からホームラン王、ヤンキース復帰まで

山下智茂・星稜高総監督と。恩師の悲願であるタイトル獲得なるか 〔PHOTO〕幸多潤平

「あれはイチローさん流の言葉遊びというかね。グラウンドで会えば話はするよ。いつもオレが一方的に言われているから、そう見えるのかもしれないけどね」

 NHKの朝ドラのタイトルをもじった「ウェルかめ・トゥー・ザ・ウエストディビジョン(西地区)!」というイチローの歓迎コメントを松井秀喜(35)は、「挑発じゃないよ」と流すのだった。

 ゴジラのLA上陸で俄然、盛り上がるのが、アメリカン・リーグ西地区。イチローのいるマリナーズとの直接対決の機会はヤンキース時代から倍増する。とはいえ、野手が対決するのは投手。だから、イチローは「オレがピッチャーをやる」なんて更なる挑発をしたのだが、松井はまたしてもうまくかわした。

「確かにね、野球はピッチャーだよ。そういう意味では、今年のマリナーズは相当、手強い。サイ・ヤング賞左腕、クリフ・リーが先発に加わったからね。俊足巧打のショーン・フィギンズが加入したのも大きい。イチローさんとの1・2番はかなりやっかいだね。走・攻・守すべてが一流のイチローさんだけど、一番羨ましいのは足かな。
  守備にも生きるからね。肩はある程度、自信あるんだけど。もうね、オッサンだよ。メジャー7年間で体はボロボロ(笑)。でも、エンゼルスも強いよ。あのヤンキースがここ数年、苦杯をなめさせられ続けたチームなんだから。'05年のプレーオフでも負けてる。あの時、オレが最後のバッターだったから、よけいに印象深い」

 昨年のワールドシリーズで松井は打率6割、3本塁打、8打点と大爆発。ヤンキースの9年ぶり世界一に貢献し、日本人初となるMVPに輝いた。だが、チームは殊勲者に対して冷たかった。FAとなった松井にオファーを出すどころか、話し合いの場すら設けなかったのだ。

「ヤンキースが『オファーを検討している』というポーズを示すだけでも、彼は残留を考えたはず。年俸が半額でも、です。それほどチーム、NYへの愛着は深かった」
(スポーツ紙記者)

 気になるのは、エンゼルスとは1年契約だということ。結果を残し、ヤンキースを見返したあかつきには、NY復帰というウルトラCがある?

「前半戦は不調だったから、仕方ないよ。ピークが来たのが、最後の最後だったしね(笑)。1年後、もしヤンキースからオファーがあったら・・・今季次第だね。1年やってみて、チームやLAの街が気に入ったら、残るかもしれない。『ラテン系の選手が多いエンゼルスに、なじめないのでは?』という声があるのは知ってる。でもヤンキースにもいろんな選手がいたから、そのへんは問題ないよ」

 その代表は、あのマドンナと不倫騒動を起こしたA=ロッド。その豪快さは、違う意味で世界的な話題になった。

「(マドンナを)ヤンキースタジアムの三塁側のスタンドによく呼んでいたよ。A=ロッドはサードを守っていたから、間近でプレーを見てほしいってことだろうね。実際に付き合っていたのはケイト・ハドソンだったと思うけど、マドンナのことは本当に大好きだったみたい。彼のiPodに入っている曲の9割がマドンナらしいから(笑)」

 エンゼルスでの懸念材料として、正左翼手、ホアン・リベラの存在を挙げる記者は少なくない。ヤンキース時代、巨人から移籍してきた松井にポジションを奪われた過去があるからだ。

「いたねぇ。でも、関係ないよ。オレ、DHだし」

ホームラン王を獲る感覚

 聞いてみたい質問があった。昨年の活躍は「松井のDH固定」がもたらしたのでは? というものだ。守備につかないからこそ、故障した両ヒザに負担をかけずに済んだのではないか。なのになぜ、彼は守備にこだわるのか。

「DHのほうがいいことは分かってる。自分でもそう思う。守備やランニングによって、ヒザに水がたまったりすると、バッティングに影響が出るのは確か。エンゼルスでもDHだよ。体の状態がよければ、週に1~2回はレフトの守備につくということ。
  ただ、守れないと出場機会が減るよね。例えばヤンキースには、ジーター、A=ロッド、ポサダと定期的にDHに入って、休養をとる選手がたくさんいるから、DH専任だと試合に出る機会が少なくなってしまう。だから、守りにつきたいという気持ちは常に持ち続けたい。
  チームが守備についている間、DHの選手はベンチ裏で素振りをしたり、ストレッチをしたりするんだけど、これだとなかなか試合に入っていけない。集中力という意味では、バッティングに影響するかもしれないね」

 もちろん、そうならないよう準備はしっかりしている、と松井は言葉を継いだ。

「体が健康で、試合数さえこなせれば、ある程度の数字を残す自信はある」

 世界最高峰の舞台・ワールドシリーズ。世界一を決める大一番で6打点目となるツーベースを放った松井は、ガッツポーズをするでもなく、塁上で次の打者を見つめていた。これは、彼が追い求める「不動心」の完成を意味するのでは?

「完成・・・あるかもしれないね。近づいているかも。でも、基本は変わってないよ。ストレートを待ちながら、変化球にも対処する。相手投手の球種をアタマに入れて、ギリギリまでボールを見る、ということはね。調子がいいと、難しいボールまで打ちにいってしまうものなんだけど、好調時にバットを止められる―誘いダマを見逃せる状態が最高。
   去年の終盤戦はそういう感覚を持てた。ワールドシリーズ第2戦でペドロ・マルティネスから打ったホームランはボール球だったけどね(笑)。でも、あのいい感じは今も感触として残っているよ」

 メジャー移籍1年目の'03 年秋に本誌がインタビューした際、松井は「自分は中距離打者。こっちの選手は飛距離が全然違う」と嘆いていた。

 だが、今季のゴジラはライトスタンド3階席に何度もアーチをかけた。松井の昨季の本塁打数は28本。ア・リーグのホームランキングは39本である。飛距離は追いついた。常時試合に出られるエンゼルスであれば、本塁打王は射程内である。

「数字的に可能性はあると思う。A=ロッドみたいにツボにハマれば50発打つ選手もいるけど、基本、40本台の争いになると思うから。一時期の70発とかそういう時代はもうないよ。けどね、ホームランを打つって難しいよ。飛距離が伸びてる? そうだね。でも何でだろ(笑)」

 謙遜する松井。だが、その笑顔には確かな自信が見て取れるのだった。

 ―ところで、ロスといえばハリウッド。パパラッチの本場である。

「誰もね、オレなんて追わないよ。NYでは自宅前にパパラッチがいたことがあったけど、去年の夏にはいなくなったし。それに向こうは日本のパパラッチみたいに手が込んでないから、すぐ分かる。カメラをブラさげて、突っ立ってるんだから(笑)。ロスにはおいしい日本食レストランがたくさんあるけど、出歩かないよ。基本、家でメシだからね」

 最後に愚問を。『24』『LOST』など、米国人気ドラマをほぼコンプリートしたという松井だが、『Qさま!!』など、日本のクイズ番組もいまだにチェックしているという。今季の年俸は約6億円。日本の球団、例えば巨人や阪神なら払える額ではある。

「日本に帰ること自体、今は考えてない。戻ったとしてもDHのないセ・リーグは難しいかな。ただ、常に自分を必要としてくれるチームに行きたい、という気持ちはあります!」

 まずは松井を熱望したエンゼルスで、赤ゴジラの逆襲が始まる。

 少しだけ見慣れてきた(?)赤ゴジラ。キャンプは2月23日スタート