町田徹「ニュースの深層」
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「財政の番人」も、ついに消費増税延期を認めはじめた?~「その後」を見据えて動き出した人たち

2016年03月22日(火) 町田 徹
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〔PHOTO〕gettyimages

憲法改正のためにも

消費増税の2度目の延期に向けて、安倍晋三首相が自ら、待望論を煽り始めた。舞台は、2人のノーベル経済学賞受賞者を含む内外のエキスパートからヒアリングする「国際金融経済分析会議」だ。

シナリオ通り、先週水曜日(3月16日)、トップバッターとして登場した米コロンビア大学のスティグリッツ教授は、消費増税に対する慎重論をぶちあげた。本稿がアップされる22日火曜日には、米プリンストン大学のクルーグマン教授がダメ押しするだろう。

安倍首相が、こうしたノーベル賞受賞学者による援護射撃を最大限に有効活用するハラなのは明らかだ。5月の伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)で、消費増税の再延期を、混乱する世界経済を安定化させるための日本の主要な対策のひとつに掲げ、議長国としてサミットをリードする戦略という。

さらに、増税再延期に対する国民の信任を得ることを衆議院の解散・総選挙の大義名分に据えるだろう。7月の参議院選挙にあわせて、自民党に有利とされる衆参ダブル選挙を断行し、悲願の憲法改正に繋げる戦略が透けて見える。

安倍首相の念頭にあるのは、自・公の連立与党が議席の3分の2を獲得する大勝利を収めた前回(投開票2014年12月14日)の総選挙だろう。

この選挙で、安倍政権は、2015年10月に予定されていた税率を8%から10%に引き上げる消費増税を2017年4月に延期することを決めたうえで、その判断の是非について国民の信を問うとして解散・総選挙を断行、歴史的な大勝を収めた。

当時から、首相官邸筋は、増税について「責任論で言えば、(増税は)一つの内閣で1回やれば十分。2度もやれば、どんなに国民から厚い信任を得ている内閣でも政権を維持できない」と漏らし、2017年4月の消費増税の再延期も辞さない構えを見せていた。その意味で、増税再延期は早くから想定された通りの展開といえる。

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