山崎元「ニュースの深層」
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日銀の次の一手は、民間企業への「異次元関与」か

2016年03月18日(金) 山崎 元
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【PHOTO】gettyimages

「筋が悪い」株式の買い入れ

日本銀行は、金融緩和政策の一環として、現在年間3兆円を超えるペースで、ETF(上場型投資信託)の形で上場株式を買い入れている。同行の営業旬報によるとETFの残高は3月10日現在で7兆5千億円に迫っており、かつて民間銀行から買い入れた株式と合わせると9兆円近い株式の保有残高がある。

日銀は、今や三菱東京UFJ銀行や日本生命といった民間会社を抜き去って、GPIFに続く日本第2位の上場企業の大株主だ。

また、投資家としても年間ざっと3兆円の買い入れ額は小さくない。取引所の稼働日で割り算するとしても、一日平均100億円以上の買い入れ額になる。株式取引に詳しい向きには、「100億円以上の募集額の日本株投信が『毎日』」設定されているのだ」と言うと、感じが伝わるだろう。「将来、これが無くなったら、ずいぶん様子が変わるだろうな」ということも含めて、無視できない影響力だ。

金融政策としては、民間経済から株式を吸収して、その代わりに現金が増える(実際には市中銀行が持つ日銀当座預金残高が増えるのだが)ことで「ポートフォリオ効果」を通じた金融緩和の作用があり、買い入れがもたらすかもしれない株価の押し上げ効果は、資産効果を通じてモノの需要を拡大する効果があるはずだ。「デフレ脱却」に向けた金融緩和政策の一環として、何らかのプラス効果を持っている政策だとは評価できる。

但し、筆者は株式市場に近い場所で仕事をしてきたこともあり、日銀が大株主・大投資家として株式市場で存在感を増すことに関して、幾つかの懸念を持っている。

一言で言うなら、株式の買い入れは日銀の政策手段として「筋が悪い」のだ。理由は複数ある。

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