向田麻衣「美しい瞬間をつくる人」

創作は辛いけど楽しい。作家・朝吹真理子が見つけた「ものづくりの極意」

朝吹真理子×向田麻衣【第3回】

2016年03月25日(金)
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朝吹真理子さんと向田麻衣さん
長編に取り組む作家・朝吹真理子さんと新しい商品を発表したLalitpurの向田麻衣さん。みずみずしい感受性で世界を受け止める2人が語った、ものづくりに対する葛藤と、その先に見出す希望とは?(構成・徳瑠里香/写真・三浦咲恵)

第1回はこちらからご覧ください。
第2回はこちらからご覧ください。

芸術とビジネスにおける創造とは

向田: 私、これまで芸術の創造とビジネスの創造は別物だと思っていた。中学生の時にシュリーマンの『古代への情熱』を読んだのだけれど、彼は考古学をやりたくて、そのための資金を得るためにビジネスを立ち上げて成功した。そして数十年働いた後に考古学の世界へ戻っていく。

当初から持っていた古代への情熱を貫いている彼に、私は勝手に自分を重ねていて。まずは事業を成功させて、その先で経済合理性を越えた純粋な表現ができるのかなって。でも、純粋な芸術や表現なんてないということにも気がついた。NYに住居を移してからは特に。

さまざまなタイプのアーティストや事業家の方々に話を聞いて、ビジネスをすることが一つの創造であり表現だということがようやく腑に落ちた。

朝吹: 今まで腑に落ちていなかったのが面白いなと思う。お金とか関係なくいいものを作る、それで分かってくれる人がいたらいい。私もそういう気持ちで小説を書いているところがあって、経済のことを忘れてしまう。原稿料や印税が創作と結びつかなくて、経済が抜け落ちちゃう。これは私の弱さだと思う。

経済は身を支えてくれる、一文字書いて、そのお金で、また新しい一文字を書ける。それが専業作家というものなのだと思う。創作を続けるためには経済を考えないといけない。全身全霊でいいものを作ったら経済は二の次だと簡単に言ってしまうのは甘えだと思う。

向田: 私はネパールの支援をする活動のなかで、当初は自分がお給料をもらってやることに抵抗があった。今はビジネスとして、ネパールの女の子たちとものづくりをして販売することにすごく納得感がある。シンプルに、いいものを作って喜んでくれた対価としてお代をいただこう、と。

真理子さんみたいに、書くこと、表現することはその価値を金額ではかりしれないから、よりお金を結びつけるのは難しいのかな、とは思う。

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