わき道をゆく~魚住昭の誌上デモ
2016年03月06日(日) 魚住 昭

鳥の眼で見れば世界は驚異に満ちている
~娘と僕の西荻窪「野鳥観察」日記

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〔PHOTO〕gettyimages

わが庭から見える風景

西荻の、わが家の庭には桜の老木がある。そこには毎日、いろんな野鳥がやってくる。

いちばん多いのがヒヨドリだ。全身暗褐色で、ピーヨピーヨとうるさく鳴く。次に多いのがキジバトとシジュウカラ。翼と尾が青いオナガもたまにくる。

小型のキツツキであるコゲラも時々、シジュウカラの群れと一緒に飛んできて、ギーッギーッと鳴き、嘴でコンコンコンと木の幹を叩いていく。カラスだけはなぜか庭に入らない。隣家の屋根からのぞくだけである。

私がここに越してきたのは10年前の春だった。そのころは野鳥の名も何も知らず、目の前の仕事に夢中になっていた。

その年、末娘が生まれた。翌春、私は双極性障害(=躁鬱病)と診断された。それから数年の療養でひどく辛い症状はなくなり、末娘はこの春、小学4年になる。病気は治ったと言いたいが、まだ薬は手放せない。

健康な人にもわかるように説明するのが難しいのだが、私の精神の根っこには不快な緊張感がいつもつきまとっている。これが気分を落ち込ませたり、不安を高じさせたりもする。

鬱の時は朝、目覚めた時に頭の奥が少し痛い。でも、躁はもっと辛い(肌が粟立つような感じになる)ので、躁にだけはならないよう気をつけている。

予防法の第一は、人と会わないことだ。とくに知らない人と長時間話すとひどく疲れる。だから人前にもあまり出ない。

次に、テニスをして体を動かすことだ。週に2~3度、西荻駅前のラーメン店のご夫婦を相手にボールを打つ。それと、よく散歩することだろうか。このごろ、その散歩に、娘のおかげで新たな楽しみが加わった。

娘は野鳥が好きだ。昨年の夏休みの自由研究のテーマに野鳥を選んだのがきっかけだったらしい。以来、いつも図鑑を眺めているから、野鳥のことならたいていのことは知っている。

たとえば私がハシブトガラスとハシボソガラスの見分け方を訊ねると、「オデコが出ていて嘴が太いのがハシブトだよ」と教えてくれる。見たことのない小鳥が庭に来たりすると、娘を呼んで名前を教えてもらう。

娘が使うカメラのデータフォルダには、娘が撮った野鳥の写真が100枚ほどある。大半が自宅の庭か、日本野鳥の会の発祥地・善福寺公園(自転車で数分の所にある)で撮ったものだ。中には、割と貴重なツミ(小型のタカ)の画像もある。

何しろ善福寺公園には春~夏に15種類、秋~冬だと30種類もの野鳥がいる。カワウ、コサギ、ゴイサギ、カワセミ、ハクセキレイ、ムクドリ……。

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