テレビのヨミカタ
2016年03月02日(水) 高堀 冬彦

『金八先生』名プロデューサーの偉業を偲ぶ
〜公立中学はこうして大変革を遂げた

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TBS『3年B組 金八先生』HPより

公立中学の問題を浮き彫りにした

連続ドラマシリーズ『3年B組金八先生』(1979~2008年)を企画・制作した元TBSプロデューサーの柳井満さんが逝去した。没年80歳。プロデューサーは黒子との考えからなのか、派手な振る舞いをしない人だったが、ドラマ界に大きな足跡を残した人だった。

長渕剛(59)の連ドラ初主演作『家族ゲーム』(83年)をプロデュースしたのも柳井さん。やはり長渕の主演連ドラ『とんぼ』(88年)に哀川翔(54)を起用し、哀川を茶の間の人気者にしたのも柳井さんにほかならない。

作家・宮本輝さん(68)の小説を民放で初めて連ドラ化した人でもあった。作品は青春小説の傑作『青が散る』(83~84年)。宮本文学の初映像作品、映画『泥の河』(監督・小栗康平)の公開から約2年後のことだった。

数々の名作を残した柳井さんだが、代表作はというと、やはり『3年B組金八先生』だろう。学園ドラマにカテゴライズされることが多いが、実際には公立中学の実態を活写し、その在り方を見る側に考えさせたので、社会派ドラマと呼ぶべきだろう。

だから、中学生を中心とした10代の共感を広く集め、親や祖父母の世代も画面から目が離せなくなった。

また、公立中学の「負」の部分をクローズアップしたため、結果的に公立中学は変革を余儀なくされた。柳井さんが亡くなったから書くわけではなく、教育界に極めて大きな影響を与えたドラマであり、その役割は高く評価すべきだろう。

公立中学は『金八先生』以前と以後では大きく違う。このドラマは中学生たちの悩みや葛藤を描いていたようで、実は同時に公立中学側の問題点を糾弾していたからだ。このドラマの放送開始後、公立中学が抱えていた悪しき点は少しずつ改善されていった。

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