日本一の書評
2016年02月27日(土)

窮地に陥った仲間のために、あなたは何ができますか?

『赤毛のアンナ』著者・真保裕一さんインタビュー

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〔PHOTO〕 iStock

『赤毛のアン』も孤児院出身だった

ーー児童養護施設で育った女性・志場崎安那をめぐる長編サスペンスです。小さな頃から、いつも明るく魅力的だったアンナ。そんな彼女が、25歳になって傷害事件で逮捕された。報じた新聞記事を読んで、何年も疎遠になっていた施設や高校時代の仲間が事件の真相を探ろうとします。

10年くらい前、夜中にかかってきた友人からの電話がアイデアのきっかけでした。ある共通の友達が急死したと。それがすごくショックで……。

亡くなってしまったらもう何もできないのですが、「窮地に陥った仲間のために、自分たちは何ができるだろうか」というテーマで小説を書けないか、と考えたんです。

疎遠になっていた友達が罪を犯してしまい、そいつのために何かしてやろうと昔の仲間が集まる。罪を犯してしまう友人を児童養護施設出身にしようと決めて調べていくうちに、そういえば自分が大好きだった『赤毛のアン』も孤児院出身だったことを思い出した。いっそ、女性中心の話にしたほうが膨らみも出てくるんじゃないか――と、構想が進みました。

ただ、そこから実際に書き始めるまでに時間がかかってしまって。もっと早く書いていれば、朝ドラの『花子とアン』に間に合って売れたんじゃないか、と少し残念な思いはあります(笑)。

ーーアンナの愛読書は、その『赤毛のアン』。タイトルに加えて、「アンナの青春」「アンナの愛情」といった章題も、シリーズから取られていますね。

高校生のときだったかな、最初はアニメで観たんですよ。素晴らしい作品だと友達に話したら、「原作も面白いから」と本を渡されて読んだんです。アンの性格や描写の素晴らしさ。女の子の恋に対する感覚とか、少女漫画の原点になっているところもある。それから、『アンの青春』『アンの愛情』と続編が書かれていき、彼女の人生を追う大河小説になっているのも魅力でしたね。

ーーたったひとりの肉親だった母を亡くしたアンナは、8歳のとき児童養護施設に引き取られます。親のいない子だけでなく、児童虐待を受けた子も多いのが印象的でした。

そうですね。最近は親がいるのに一緒に暮らせない子も多い。資料を読み込んでいくうちに、子を持つ親として本当に辛くなりました。

児童虐待やドメスティック・バイオレンスは昔からあったはず。ただ、最近増えていることは間違いないと思うんですよ。昔はお祖父ちゃんやお祖母ちゃんもいたし、近所付き合いもあった。今は核家族化が進み、近所付き合いも希薄になって、目が行き届かなくなっている。そういう背景はあるでしょうね。

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